スンジョの戸惑い 62
教頭先生の集合と言う合図で、パニック状態の女子たちは無言で自由行動の班ごとに集まった。
「なんだ?今日は、随分とみんな静かで素早く集合したな。」
事情を知らない教頭は、自分の影響力が学校外でも発揮が出来たと勘違いをしていた。
ポツンと壁に寄り掛かるようにして座り込んでいるジュングを見て、教頭は学校にいる時と同じように聞いて来た。
「ポン・ジュング、お前はまた見回りがすんだあと、教師の目を盗んで部屋を抜け出してどこかにでも出掛けたのか?」
ジュングはこれ以上下げれない程に目尻を下げて、懇願するような顔で教頭に訴えた。
「オレはそんなに悪い男ですか?オレが何をしたって言うんですか・・・・・・ハァ~・・・」
教頭はスンジョのそばに行き、スンジョの肩を叩いてジュングや7組の生徒に向かって、いつものように全く自分本位な説を話しだした。
「1クラスのペク・スンジョ君みたいに、くだらないことに目を向け、学生の本分である勉強に励んでいるか?オ・ハニ、お前もだ。くだらないアイドルやら、トッコ・ミナ・・・・お前は漫画に、チョン・ジュリは髪形・・・・そんなことばかりに目を向けているから・・・・・・」
長くなりそうな教頭の話を終わらせようと、スンジョは自分の肩に置かれている手を掃い退けた。
「説教は学校に戻ってからにしてもらえないですか?校外学習でもある自由行動の時間が短くなると、父兄からクレームが来ますよ。」
スンジョの一言で、教頭は言いたいことの僅かしか言えず、修学旅行の引率責任の先生にマイクを渡した。
担当の先生は、簡単な注意事項を原稿に書かれているまま生徒に話し、自由行動に向かうように声を掛けた。
「ミナ・・・ジュリ・・・ごめん。トイレに行って来る。」
「気をつけてねぇ。」
待っていてくれるミナとジュリに手を振って、急いでトイレに向かった 女子トイレには偶然スンジョのファンで取り巻きの一人の女の子がハニを睨んでいた。
絶対に何かしてくるような気がして、出来る限り目を合わさないようにして中に入った。
スンジョが自分のことをたくさんの生徒たちの前で告白したことによって、自分に向けられる嫉妬が怖くなった。
今回もみんなの前でスンジョは好きだと言ったが、付き合っているとは言う事はしなかった。
スンジョが人を好きだと言うことがないから、多分みんなはハニに対して良い感情を持たないことは明らかだった。
「メールが来たわ。」
自宅のパソコンにブログを書いていたグミは、ミナたちからのメールを読み、その内容にがっかりしたようにため息を吐いた。
「お兄ちゃんったら判っているのかしら。付き合ってはいない?好きだけど付き合っていない?口足らずがハニちゃんを不安にしていることを・・・・・はっきり彼女だと宣言しなさいよ。じれったいんだから・・・・・・写真も送って来てくれたみたいね・・・・・・フフフ、二人とも私の用意したペアの洋服を着てくれたのね、いいじゃない。よくお似合いよ・・・・・・」
グミはミナたちから送って来た写メを、ブログの記事に貼りデータを保存してパソコンを閉じた。
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