スンジョの戸惑い 115
「ただいま。」
「ママ、お帰りぃ~」
グミは久しぶりに早い時間に、嬉しそうに笑いながら病院から帰宅した。
「おにちゃんとハニちゃんは?」
リビングのソファーで、一人で本を読んでいたウンジョにグミは声を掛けた。
「お兄ちゃんの部屋で、ふたりで勉強だってさ。僕追い出されたんだ・・・・」
「そう・・・・・」
グミはニヤリと笑って、スンジョの部屋の締まっているドアを眺めた。
「おい!寝るなよ。」
「う~ん。」
ハニはスンジョに、間近に迫った一学期最後の定期テストの勉強を教えてもらっていた。
このテスト成果と二学期の最初に実施される実力テストとの結果で、内部推薦の合否が決まる。
時々ハニの勉強を見ているスンジョは、何度教えてもすぐに忘れてしまうハニの忘れっぽさが気になって、短期間で成果が出るようなテスト対策をしていた。
しかし、ハニは忘れっぽさとは別に、勉強開始後30分くらい経つと、必ずと言っていい程に睡魔に襲われる。
「ちょ・・・っと・・・だけ・・休憩したい。」
「仕方がないなぁ・・・30分だけだぞ。」
スンジョはそう言うと、机からベッドに移動した。
読みかけの本を持ち、ベッドの上に座り本を開いた。
ゴソゴソとベッドに上がり、スンジョの横に嬉しそうに座るハニに、スンジョは呆れたようにため息を吐いた。
「お前なぁ・・・・もしかして、仮眠をするつもりか?」
「いけない?」
「いけなくはないが・・・・・」
スンジョはパタンと本を閉じて、サイドテーブルの上に置いた。
「ちょっとだけだぞ。」
「うん!」
スンジョの一言でハニは、座っているスンジョにピッタリと貼り付く様にすり寄って目を閉じた。
本当にお前はオレと同じ年とは思えない。
青春真っ盛りの高校生の男と並んでベッドに座るなんて・・・・・無防備というのか、ガキというか・・・
「お前・・・・起きてるだろ?眠いんじゃなかったか?」
薄く目を開いて、スンジョを上目づかいで見上げた。
「どうして・・判るの?」
「緊張しているぞ、自分からオレのベッドに上がったのに。」
「き・・・緊張なんてしてないよ・・・本当に眠いんだけど眠れなくて・・・」
「んじゃ・・・・目を瞑ってろ、そのうちに眠れるから。」
言われた途端、眉間に皺を寄せてギュッと目を瞑っているハニが可笑しくて、スンジョはふきだしそうになった。
可愛くて、ハニのその顔があまりにも可愛くて、無性にハニにキスをしたくなったスンジョは、ユックリと顔を近づけた。
0コメント