スンジョの戸惑い 114
進む路がオレの中で決まってからは、親にまだ話していなくてもそれなりの準備を始めた。
いくらIQが高いからと言っても、何もしないわけにはいかない。
ハニはなんて言うだろうか。
オレの行く予定の大学がどこか知ったら。
毎日のように、やって来るさまざまな大学の事務職員。
全国模試の成績の噂や、親父の会社を知ってかなりの好条件で誘ってくる。
だけどオレが決めた大学も好条件を出しては来ているが、他大学の様なオレ以外の力が欲しい事は何も言わなかった。
入学金・4年間または院生になっても授業料は免除。
留学費用からそれに掛かる準備資金や、院に進学した後も研究費を出してくれる。
そこまではどこの大学も一緒だが、他大学はそれ以外に親父の会社の名前が欲しい事が判る。
就職難のこの時期、就職に関してハンダイが採用をしてくれるように便宜を掃って欲しいと言われた。
オレの行きたい大学は、卒業をしたら後進のために学園の関連施設に進んで欲しいと言っていた。
「ねえ・・・スンジョ君。おじさんたちにいつ言うの?」
「体調が安定して、退院してからでもいいと思う。」
「何だかドキドキするね。」
ハニはオレの事も自分の事のように心配してくれる。
自分の成績だと、内推も危ういのに。
「なんでお前がドキドキするんだ?」
「だって本当なんだもん・・・触ってみて!」
クルッとオレの方に向きを変えて胸をつき出してくる。
「お前の貧乳なんか、触れるか。」
ハニはオレの言った言葉に対して、急に自分がした事が恥ずかしかったのか顔を真っ赤にした。
ハニが貧乳だって構わない。
そんな風に無防備にしているお前はオレと本当に同い年とは思えないくらいに可愛くて、無邪気過ぎて放っておけそうもない。
そんなハニと離れて留学するのも他大学に行くのも、全く考える気になれなかった。
「お前の方は、内推は貰えそうか?」
「ん~ん・・・・微妙・・・・・私が希望するパランの社会学部は、殆どが7クラスの生徒なの。それでも内推枠に入れるかどうかギリギリなの。」
「一次は大抵受かるだろうから、二次の面接が重要だ。自己アピールはどんな小さな事でもいいから言うんだぞ。それから・・・・」
スンジョの話を、いつも目をキラキラと輝かせて聞いているハニの顔が、スンジョは可愛くて仕方がなく抑えきれない思いをハニに向けた。
スンジョの顔が近づくとビックリして見開いていた目が、唇が合わさった瞬間にそっと閉じた。
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