スンジョの戸惑い 117
「そう・・良かったわ。大学での生活に慣れたら、パパの会社でアルバイトを・・・」
「会社は・・・継がない。」
「お兄ちゃん・・・パパとママは・・・・・」
ハニは険悪な雰囲気になる前に、まだ幼いウンジョをこの場から連れ出した方が良いと思った。
「ウンジョ君・・・天気が良いから、ウッドテラスに出ない?」
「いいよ・・・・風があるから。」
もう!!折角、私が気を利かせているのに・・・・・・・
そんなハニの様子に気が付いたスンジョは、ウンジョの方に向き直った。
「ウンジョ・・・・ハニと一緒に、ウッドテラスに行っていてくれないか?」
「判ったよ・・・・お兄ちゃん。」
スンジョはウンジョがハニとウッドテラスに出た事を確認して話し始めた。
「おれ・・・・医者になりたいんだ。」
「医者に・・・・・なりたいですって?」
「ああ、親父が倒れてから病院に通っているうちに、何か自分の路が見えて来た様に思えたんだ。」
自分が初めて興味を持った事が医学の路で、本で得た知識しかない自分に目からの情報だけではなく、実際にその仕事に携わりたくなって来た。
日々進歩する医学の世界。
その思いを、グミに語った。
グミはスンジョが熱心に、今まで自分の気持ちを言った事が無いのに、幼い頃に見て以来初めて見るスンジョのキラキラと輝く瞳の色に、父親の会社を継がないという事に反対する事が良いのか迷い始めた。
「ハニが教えてくれたんだ。」
「ハニちゃんが?」
「どんなに困難な事も、一生懸命に努力をするという事を。親父が倒れて懸命に治療をしている医師の姿を見た時、心が動いたんだ。初めての感覚で、どうしていいのか判らない時に、ハ二がオレ達のために一生懸命に家事をしている姿と同じだ。誰かのためにする事・・・・・それは他人には簡単だけど、オレにとったら難しくて今までに体験した事のない気持ちなんだ。
眠れない時にずっと天井を見ていて判った。オレの本当にやりたい事。」
「それが医師の仕事なの?」
頷くスンジョにグミは深くため息を吐いた。
「どうしたらいいのかしらね・・・・・子供には、親を追い越していくくらいの勢いが欲しいのだけど・・・・・」
グミはスンジョの気持ちも判るが、安心出来ないスチャンの身体の事も気になっていた。
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