小さなライバル達(スンハ) 38
「アッパ、お風呂に入ってよ。」
呆気にとられているスンジョに、ニヤリと笑った顔でスンハは言った。
「今まで一度も一緒に入った事がないだろう?」
「どうして?入るのは嫌なの?」
「入るのが嫌とかじゃない。大体スンハの年齢だったら、父親とは入らなくなるだろう。」
実のところスンジョは、嬉しいが恥かしかった。
10歳の娘とはいえ身体つきも大人になりかけていたし、赤ちゃんの頃から一度も一緒に入っていないのだから。
「あ~!アッパ、エッチな事を考えていない?」
「な・・な・・何を言ってるんだ。アッパは親だぞ。」
「最近はね、父親が娘に変な考えを起こす事件もあるんだって。」
10歳の娘とは思えない発言に、開いた口が塞がらない。
まさにグミⅡ世。
「アッパが、そんな親に思えるか?」
「思わない。アッパはオンマがいれば幸せなんだものね。オンマとは時々一緒にお風呂入っているでしょ?」
まさかそんな事をスンハが知っているとは思わなかった。
ハニが淋しいと言って時々一緒に風呂に入って来る事は、二人だけの合言葉だから。
「まぁ・・夫婦だからな。」
「じゃあ・・・これを穿いてくれたら、一緒にお風呂に入るのを諦めてあげる。」
スンハが目の前に差し出した物を見て、さらにスンジョは呆れた。
10歳の娘がどういう顔をして、こんな物を買って来たのか・・・・・・
「隠しなさい。オンマが見たら、また誤解するだろう。でも、お前はこれを自分で買ったのか?」
「そうだよ。ミンギュが、お母さんがおお母さんにプレゼントしたんだって。うちのオンマは、アッパが大好き過ぎるからきっと買おうと思わないから、代わりに買って来た。」
それを広げてスンジョに差し出した時、運が良いのか悪いのかハニが部屋に入って来た。
「ぅわぁ~!何?それ・・・・・可愛いじゃないの・・・・スンジョ君こんな趣味があったの?もしかして、昔の記憶がよみがえって来たの?」
スンジョがギロッとハニを睨んで、言ってはいけない事を言ってしまったとハニは口を手で押さえた。
「何?昔の記憶って・・・・・」
「何でもない、これを穿けばいいのか?」
スンハが頷くと、焦った顔でスンジョはそれを持って、お風呂に向かって歩いた。
スンハはハニに判らない様に、小さくガッツポーズをして自分の部屋に駆け込んで行った。
変なの・・・スンハもスンジョ君も・・・・・
でも、あれは可愛いけど子供たちには見せられないんだよね。
知ってるよ、私はあれが何なのか。
スンジョ君だって気が付いているはずなのに、私が知らないと思っているんだ。
今夜スンジョ君に聞いてみようっと。
スンハに何を言われたのか・・・・・
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