小さなライバル達(スンハ) 53
兄妹の多いスンハが両親への思いを話した事がハニは嬉しかったが、その思いを知ると少しスンハに申し訳ないきがした。
ハニはフリースペースで洗濯物を畳みながら、学校から帰って来た時のスンハの嬉しそうな顔を思い出してはため息を吐いていた。
「・・・・・・ハニ?おい、ハニ?」
呼ばれて顔を上げると、スンジョが心配そうに覗きこんでいた。
「スンジョ君・・・・お帰り。」
「具合が悪いのか?顔色が良くない。」
そっとハニのおでこにスンジョの手が触れた。
「大丈夫だって・・・・・違うの、今日ねスンハが学校から帰って来た時なんだけれど・・・・・・・」
ハニは学校から帰って来た時のスンハの話をスンジョに話した。
今まで一度もスンハの話をしっかりと聞いた事も無ければ、褒めてあげた事もなかった。
嬉しそうに話すスンハに二人は申し訳なく思った。
「スンハは大丈夫、そう思って来たからな。オレも子供の時はそうだったのに、気づいてやれなかったな。お袋に似て思った事は何でも言える子だと思っていたけど、親に負担を掛けないようにするところはハニと似ているな。でも、可愛そうな事をしたよ。」
「それでね、スンハがご褒美に。一緒に私とお買い物をしたいって言ったけど、いいかなぁ。」
子供らしいお願いでも、仕事をしていて他にもまだ小さな子供たちがいるハニには、出かける時でさえ、誰かに聞かないといけない。
「行って来いよ。オレが他の子供たちの面倒を見るから。それにしても、オレ自身がスンハと同じように、両親から手が掛からない子供だと言われて構ってもらえなかったのに気付いてやれなかったのだから、もう少し早くスンハの可笑しな行動が何故なのか聞いてあげればよかったよ。」
子供を育てるのは毎日が新しい事の発見の連続。
それが自分と同じように育っている事でも、気づかない時がある。
子供にはどんな小さな変化も見逃さないで、時には向かい合って話を聞いてあげたり黙って抱きしめてあげる事も必要だとスンジョは思った。
「そう言えば、スンリは最近スンジョ君がお気に入りみたいね。」
「何だよ、焼きもちか?」
スンジョのからかう様な笑顔に、ハニは少し照れたような笑顔で応えた。
「うん・・・・まぁ・・・・・・でもちょっとじゃなくて、かなり焼きもちかも。可愛くて仕方がないスンリが、いつもオンマじゃなきゃダメと言っていたのに・・・・・それにスンジョ君を今度は独占しているんだもの・・・・・・・・」
自分の子供にさえ焼きもちを妬くハニが、スンジョは呆れながらも嬉しかった。
「オレが世界で一番好きなのはハニだよ。ハニの子供だからスンハやスンリ、そしてスンミが好きなんだ。自分の子供に焼きもちを妬くんじゃないよ。オレだって、スンリがあまりお前にベタベタしていた時は、面白くなかったぞ。」
スンジョも自分と同じように、子供に焼きもちを妬いていた事を知って、ハニは何だか嬉しかった。
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