小さなライバル達(スンハ) 52
リビングで捉まり立ちをして動いているスンミを見守りながら、ハニとグミはカメラやビデオでスンミの後を追っていた。
「ただいま。」
そう言って学校から帰って来たスンハが、ハニの後ろから抱きついて来た。
「スンハどうしたの?」
「今日ね・・・良い事があったの。」
スンハが学校であった事を話すのは初めてだった。
ハニとグミはスンハが次に言う事を、何だろうかと待っていた。
鞄の中から、嬉しそうな顔をして一枚の紙を出した。
「ジャ~ン!」
「全国学生弁論大会小学生の部優勝?いつあったの?」
「オンマったらぁ、これはほらこの間の木曜日にパラン小学校で色々な小学校の代表が集まったって言ったでしょ?」
「うん・・・・お母さん、行きましたか?」
「行ってないわ・・・・ごめんねスンハ。おばあちゃん知らなくて・・・・・」
「生徒だけよ・・・・・・優勝しちゃった!」
嬉しそうに症状を抱きしめているスンハを見て、ハニは今までスンハがこんな風に気持ちを表した事がなかった事に気が付いた。
「すごいね・・・立派だね。」
「立派でもすごくもないよ。だって、オンマの事を書いたのだもの。」
「オンマの事?」
「うん!!」
「私のお母さんは、看護師をしています。お母さんは大好きなお父さんのお手伝いをしたくて、看護師を目指しました。決していい加減な気持ちではなくて、お父さんがする仕事を手伝う事がお母さんの生きがいだから。でも、兄弟の多い私たちをいつも楽しませてもくれるし、全力で子育てもしています。全力で子育て・・・・・それは、お母さんは何をするのも時間が掛かるから。どんなに困難でも、自分が決めた目標を信じて真っ直ぐに進むのが私のお母さんです・・・・・・・・・・・・・・私はいつも失敗をしてもくじけずにいるお母さんが大好きです。
パラン大学付属小学校5年ペク・スンハ」
ハニとグミはスンハの読んでくれた弁論大会の原稿を聞き、その内容に感動して涙を流していた。
「すごいね・・・・・スンハは・・・・オンマはこんな文章を小学生の時に書けなかったよ・・・・さすがアッパの子供だね。」
「オンマに褒められたのは初めて・・・・・・・」
「初めて?」
考えれば今までスンハを褒めた事がなかった。
時々年齢以上の事をするが、特に何も問題を起こした事もなく、自分の事は自分で何でもやっていたからこんな風に自分を見てくれていた事をハニは知らなかった。
気が付いたらハニはスンハを抱きしめて泣いていた。
「オンマ、どうして泣くの?泣く事はないじゃない。」
「スンハがそんな風にオンマの事を思ってくれていたのに、何もしてあげられなくて・・・・・嬉しくて・・・」
「オンマは今のままのオンマでいいの。いつもどんな時もアッパが好きで、私たちをアッパの子供だから大好きって言ってくれるし、アッパもオンマを凄く大切にしているからそんなところを見ていて、アッパとオンマの子供として私もそんな風に素敵な人に出逢いたいなぁって・・・・思っているよ。ずっとずっと今のままのオンマでいてね。」
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