小さなライバル達(スンハ) 51
「アッパ、どこに行くの?」
出掛けようとして玄関で靴を履いているスンジョにスンリが声を掛けた。
「ん?本屋に行くけど、どうして?」
「僕も行きたい。」
スンジョの手を掴んでスンリは同じように靴を履いた。
「スンリ、アッパは難しい本を買いに行くのよ。オンマと一緒にお家で留守番して待ってようね。もうすぐスンハも帰って来るから、おやつの準備を手伝ってくれる?」
「やだ!」
今まではそう言うと、ハニのそばに来て手伝ってくれていたが、最近はスンジョの傍から離れない。
「そんなの女がやる事だ!僕は男の子だから、やらない!」
そう言ってスンジョの手を引っ張って、玄関の外に出て行った。
「スンリも少し成長したのね。」
玄関でのやり取りを見ていたグミが、ハニの後ろから声を掛けて来た。
「お母さん。」
「スンジョは冷たい子だけど、歳の離れたウンジョを自分の崇拝者にした子だから、幼い男の子が惹かれる何かを持っているのね。母としてハニちゃんは淋しいかもしれないけど、あんなにオンマ大好きでいつもハニちゃんの傍にいたスンリが成長したと思うと複雑よね。」
「そうなんですよね・・・・まだまだ小さくて甘えん坊さんだと思っていたら、来年は小学生なんですよね。スンミの体が弱いから、スンリが離れてくれると助かるんですけど・・・・・ダメですね。どうしてもちゃんと出来るのか、私がいなくて大丈夫かと思ってしまうんです。」
自宅で予定日より早く産まれたスンミは、すぐに熱を出すため保育園に預けられず、ハニもスンジョもいない時はグミが世話をしていた。
「でもね、身体が弱いからっていつも家の中じゃ良くないわよ。時々は公園に行ったり散歩をしたりして、自然を体験させてあげないとね。」
ソファーに捉まり立ちをして、楽しそうにしているスンミももうすぐお姉さんになる。
子供が一つずつ成長するように、ハニも母親として少しずつ子供と共に成長している事を実感していた。
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