小さなライバル達(スンハ) 50
「あれ?」
「どうかしたの?」
ハニはコーヒー缶の中を見て頭を傾げた。
「お母さん、コーヒーってこの間、買ったばかりですよね?」
「そうよ。どうして?」
「空っぽなんです・・・・・・・スンジョ君、今夜はレポートを書かないといけないって言っていたから、コーヒーの準備だけしておこうと思って・・・・」
夕食の準備をしているグミも、手を止めてハニの方に近づいた。
「まぁ・・・・・・・今週はこのコーヒーの入荷はないって言っていたから・・・・・どうしましょう・・・・」
「どうかしたのか?」
スンジョがトレイを持って、ハニとグミが話しをしているキッチンに入って来た。
「スンジョ君・・・・・コーヒーを飲んだの?」
スンジョはトレイの上のマグカップを見て苦笑いをしていた。
「美味しいコーヒーを飲んだよ。水出しで。」
「??水出し?」
ハニとグミはスンジョのマグカップの中を覗いた。
「まさか・・・・スンジョ君ったら、水出しして飲んでいないよね?」
マグカップの中を覗くと、3分の2ほどまでコーヒー豆が入っていた。
「スンリが淹れてくれたんだよ。叱るなよ、一生懸命に二階まで運んで来たのだから。」
「叱れないわよね?ハニちゃん。」
「そうよね・・・・・火を使えないから・・・・・スンリにしたらお湯もお水も一緒だから。」
後ろからトコトコと可愛らしい足音が聞こえて来た。
「アッパ!コーヒー、美味しかった?」
部屋で絵でも書いていたのか、顔も手もクレヨンで汚れていた。
「美味しかったよ。また今度、淹れてくれるか?」
「うん!!オンマ、おばあちゃん、今度から僕がアッパのコーヒーを淹れるからね!」
呆気にとられているハニとグミの気持ちも知らないで、スンリは楽しそうにスキップをしながら自分の部屋に戻って行った。
「コーヒー・・・・・今週は入らないんだって・・・どうしよう。」
「インスタントでもいいさ。スンリには言うなよ、傷つくから。」
「判っているけど・・・・・」
「インスタントなら、水でも溶けるし簡単だろう?」
そう言ってベビーベッドで立ち上がると、スンジョに抱っこしてもらおうとスンミが小さな両手を出していた。
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