小さなライバル達(スンハ) 49
ここ数日ハニやお袋以外の視線を感じて、妙に落ち着かない。
振り返ったりして、その視線の方に顔を上げても、誰も見ている形跡もない。
「最近、忙しかったからな・・・疲れが溜まる年齢でもないが・・・」
パソコンの電源を消すと、フワッとコーヒーの香りがした。
ハニがコーヒーを持って来るはずはない。
今日は仕事なのだから。
振り向いてドアの方を見ると、スンリがトレイにコーヒーを入れたマグカップを乗せて運んで来た。
その殆んどは溢れていたが、その一生懸命にしている姿が何とも言えないくらいに可愛らしかった。
「上手く運べたな。もう少しだ頑張れ。」
全身に力を入れてソロリソロリと運び、机の上にコトンとトレイを置いた。
「フゥー」「フゥー」
二人が同時にホッとして息を吐いた。
「オンマに頼まれたのか?」
「違うよ。アッパがコーヒーを飲みたいと思って。」
5歳のスンリが淹れたコーヒーを見ると、湯気が立っていない。
不安そうに見ている我が子に、ニコッと笑うと安心した様子を見せたが、口に含んだ途端、何とも言えない味がした。
「美味しい?」
「ああ、美味しいよ。また、こらからもコーヒーを淹れてくれるか?」
「ヤッタァ!!」
飛び上がって部屋を出て行くスンリを見て苦笑いをした
スンリの淹れたコーヒーは、水の中にコーヒーを入れて作ったものだった。
ここ最近、ハニではなく自分の所にやたらと来るスンリが可愛かった。
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