小さなライバル達(スンハ) 55
スンハと一緒にというより、スンハに連れられて若い子達が行くお店を廻った。
今更ながらハニは自分の子供が、今何に興味があるのか知らなかった事に気が付いた。
「オンマ、急にしゃべらなくなったけど、どうかしたの?あ~、アッパに会いたくなったんでしょ?」
「な・・・・何を言っているのよ、この子は。」
意味ありげな顔で笑うスンハは、スンジョにあまりにも似ていてハニは目を逸らせてしまった。
「初めて一緒に買い物をしたなんて人が聞いたら驚くよね。スンハが産まれてもう何年も経ったのに、普通なら当たり前の事をしていなかったんだから。」
「隠さなくてもいいよ、オンマはアッパの事が大好きで、子供は二の次だものね。」
「そんな事はないよ。スンハ達の事は大好きよ。」
僅か10歳前後の子供にも、ムキになって言うハニは、スンハとは親子というより兄弟のようにも感じる。
「判っているよ。オンマは仕事をしていて、そんな時間がない事も。オンマの素晴らしい所は、何ににでも一生懸命で諦めないで取り組んでいる事だって・・・・・・アッパが言っていたよ<オンマに出逢えなければ、幸せだと思う事もなく生活をしていた>って。オンマを好きになって、スンハやスンリにスンミが産まれて、普通の生活がこんなにも素晴らしいって思えなかったって。頭が良いだけが良い事ではなくて、人としての思いやりが重要だって。」
スンジョがスンハにそんな話をしていたことをハニは知らなかった。
「アッパとそんな難しい話をしていたの?」
「一度だけね。どうしてオンマが好きなのって・・・聞いたの。でも一番納得したのが、オンマのラブレターとハネッカエリのところだって。」
「えっ・・・・・・ラブレター・・・・・内容まで話したの?」
スンハはニコッと笑って首を横に振った。
「ううん・・・・アッパは教えてくれなかった。これは誰にも言えないって。ハネッカエリは、高校の時に自販機をキックしたって・・・・・」
まさかスンジョが自販機のキックの事を覚えているとは思はなかった。
一度見たり聞いたりしたら忘れないと言っていても、必要のない事は消してしまうスンジョにしたら信じられなかった。
その時、ハニの携帯が鳴った。
「アッパから・・・・・・モシモシ・・・・・えっ?スンリが?・・・・・・大体買い物も終わったから、すぐに帰るね。」
スンジョから慌てた様子でハニに助けの電話を掛けたのだった。
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