小さなライバル達(スンハ) 59
唇をギュッと噛んでいたスンハが、チラッとハニの方を向いた。
ハニがスンハを心配そうに見ている目と合った時、固く結んでいた口を動かした。
「兄弟同盟を作ったの・・・・・・」
兄弟同盟の事は、ハニはスンハから初潮を迎えたことを知った時に聞いていた。
「兄弟同盟?何だそれは?」
泣き虫スンリはアッパが怖いのか、上目づかいでスンジョを見てからスンハの方をチラッと見た。
「私の家は沢山の家族で、また今度私たちの兄妹が産まれるでしょ?アッパは病院で仕事をしていて忙しいし、オンマもまた赤ちゃんが産まれて少ししたら仕事をするから・・・・・・・おばあちゃんとミアおばさんに頼らないで、アッパとオンマがいつまでも仲良く出来るようにスンリと二人でスンミと産まれてくる赤ちゃんを世話しようねって・・・・・・・・」
「で・・・アッパに浮気防止の下着を穿かせたのか?」
「ぅん・・・・・ジウンのお父さん・・・・妹が産まれる時に・・・・他の女の人とどこかに行っちゃったって・・そんな話を聞いた時に、クラスの子がオンマがアッパの浮気防止の下着の事を話していて・・・・恥かしかったけど買って来た・・・・・」
スンジョは大きくため息を吐いて椅子の背にもたれた。
「オンマと似ているなスンハも・・・・・・」
「えっ?」
「スンジョ君・・・何を言うのよ・・・・・」
顔を上げてビックリして見ているスンハの顔を覗きこむようにニコッと笑った。
「スンハは、アッパがその友達のアッパみたいにお前たちやオンマを裏切ってどこかに行くと思っているのか?」
大きく見開かれたハニとよく似た目から大粒の涙が流れた。
スンハは、大きく首を横に振ると、ポロポロと涙が止まらないくらいに流した。
「スンハがもっと大きくなったら話すけど、アッパにはオンマしかいないんだ。」
スンジョがハニを見つめて話すと、ハニは顔を赤くした。
「アッパが笑えて幸せなのは隣にオンマがいる時だけなんだ。もちろんお前たちも大切だ。オンマとスンハとスンリとスンミ・・・・今度産まれてくる妹か弟が、アッパの元気の源だ。そんな風に疑われるなんて・・・・悲しいな。」
「ご・・ごめんなさ・・・い・・・もう弟を利用したりしない・・・・・ごめんなさい・・・・・・アッパが大好きだから・・・・誰にも・・・・知らない人に取られたくない・・・・・スンハとスンリとスンミだけのアッパでいて・・・・・・」
おいでというようにスンジョが手を広げると、スンハは大きな泣き声を挙げてスンジョの胸に飛び込んだ。
退屈し始めたスンリは椅子に腰かけている身体をゴソゴソとしていた。
足をぶらぶらして、自分がこれからアッパに何を聞かれるのかも知らないでキョトンとした顔でスンジョを見ていると目が合った。
「今度はスンリだ。」
スンリは、ビクンとしてぶらぶらしていた足を止めた。
「スンリはスンミが可愛かったら、オンマとおばあちゃんが用意した物だけを食べさせるんだ。自分のおやつは自分だけで食べなさい。いいね。」
コクンコクンとビックリ眼のスンリは頷いた。
ペク家の兄妹は年長者の不安な気持ちから作られた同盟で、まだこれからもきっと二人の仲の良い両親を戸惑わせることはあるはず・・・・・・
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