スンスクの春恋(スンスク) 20
「ここが今日からミラとスンスクの部屋よ。」
ハニは初めて迎えた自分の嫁に、リフォームした部屋を案内した。
「お・・お義母さん・・・・ありがとうございます。」
「お・・ぉぉぉぉぉお義母さん?初めて迎えたお嫁さんのミラにそう言われるのは、なんだかくすぐったいわ。この部屋は・・・・スンスクとミラに内緒だけど・・・・」
チラッと、リビングにいるスンジョの方を見て小さな声で話した。
「スンジョ君がね・・・・・自分が納得のいく業者を選んで・・・・・クスッ・・・・あーだこーだと言いながら、改装したの。内緒よ。私にとってもスンジョ君にとっても、ミラさんが初めてのお嫁さんだから、ずっとスンスクと幸せに暮らしてほしいの・・・・・・・ほら、こっちのドアがバスルームでその隣のドアを開けるとトイレと洗面台でしょ・・・・・ウォークインクローゼットも・・・・・・・このリモコンを・・・・あれ?」
リモコンを操作しても思うようにバーが動かないで褪せっている母を見て、スンスクは何かを渡した。
「お母さん、そのリモコンは天井灯のリモコンですよ。多分クローゼットのリモコンはこっちです。」
スンスクが持って来たリモコンを操作すると、車椅子の高さまでバーが降りて来てハンガーが掛けられた。
「ごめんなさいね。事前に練習をしたんだけど、リモコンってどれもこれも簡単なようで・・・・・あと、ベッドの頭とバスルームとトイレとウォークインクローゼットの入り口に、二階の私たちの寝室に知らせる事の出来るボタンがあるから、緊急時はコールしてね。」
「お義母さん・・・・ありがとうございます。こんなに素敵にリフォームしてくださって・・・・・・」
ハニはミラの足元に跪いて(ひざまずいて)細くなった手を包み込むようにして握った。
「ペク家の中ではね、遠慮はいらないの。スンスクのおばあちゃんはね、実の息子よりも嫁である私やミアをすごく可愛がってくれるの。病気を治すのはお医者様かもしれないけど、患者も前向きにならないといけないの。だから先の事ばかりを見ないで、今の幸せを大切にしてね。」
ハニはリビングからスング達が呼ぶ声に返事をして、新しくなった部屋は新婚の二人だけになった。
「いいのかな・・・・こんなによくしてもらって。」
「いいですよ。お母さんも張り切って準備をしてたのですよ。ペク家の嫁として息子のお嫁さんを迎えるなんて夢みたいって・・・言って。お母さんは心配ばかりするんですけど、自分の幸せは家族が幸せでいる事だって。だから、先生は何も気にしないでいていいですよ。」
スンスクは、ミラを車椅子から抱き上げてベッドの端に腰かけさせた。
「スンスク・・・・・・・・今日からよろしくお願いします。」
「先生・・・・・・」
スンスクは改まったミラの話し方に、急に緊張してきた。
「私からのお願いを聞いてくれる?」
「何ですか?」
「・・・・・明日は、高校の卒業式ね・・・それで・・・・・今日から私はスンスクの奥さんになって・・・・・・・・・だから・・・・・・・」
モジモジとしているミラの横にスンスクは並んで腰かけた。
「奥さんになったのだから・・・・・先生じゃなくて・・・・・・ミラって名前で呼んで。」
「えっ・・あっ・・そ・・その・・・・ミ・・ミ・・ミラ・・・・・・」
「ありがとう、スンスク。ご褒美を上げるね。」
ミラはスンスクの頬をそっとはさんでキスをした。
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