スンスクの春恋(スンスク) 111

「ミラちゃん・・・・・」

ミレと一緒に校門を出ると、一人の男性に声を掛けられた。

二人同時に振り返ると、そこにはミラの母親の婚約者の兄で、ミラの父親であるジフンが立っていた。

「あっ・・・・」

「誰?知っている人?」

「知っている人だよ。ミラの・・・ククク・・・もうすぐおじさんになる人だから。」

ミラは、自分が困っているのを見て楽しんでいるように笑うジフンが、憎くて仕方がなかった。

高校に入ってから友達になったミレには、自分の生い立ちを知られたくない。

スンスクに話したのは、真面目で大人で教師だから、他人に話したりしないと分かっていたから。

「君の名前は?」

「おじさんには・・・私の友達の事はおじさんには関係ないと思います。行こ・・・ミレ・・・・」

「教えてくれてもいいじゃない・・誰かに似ているんだよね・・そのミレ・・ちゃんの顔。」

事情の知らないミレは、その場から逃げ出したいと思っているミラから少し離れて止まった。

「私に似ている人って・・・どなたですか?」

「昔の彼女に似てる・・・・20年も前の独身時代の人だけどね・・・・」

「そうですか・・・・」

「ミレ・・行こ・・・・」

「ミラちゃん、ジオンから頼まれたんだ。君が一人になっているから、おじさんと一緒にあの家に行くようにって・・・おばあちゃんもおじいちゃんも、君に逢いたがっているよ。」

ミラは行きたくなかった。

あの家に行くくらいなら、一人で自分の家にいた方がまだまし。

ミレはジフンに声を掛けられた事に、身体全体で拒絶しているミラを見て、何か事情があるのだと気が付いた。

「ミラは今日私と一緒に勉強をする約束なんです。その後は、うちに泊まって・・・そうよね?お母さんが退院するまで、昨日私のお父さんがそう話していたよね・・・・・」

「うん・・・おじさんに言ってください。私は友達の家にいるから安心してくださいって。」

今にも涙が出そうだった。

だけど、ここで涙を流したらあの男がまたそれでからかう事は判っていたし、いつ自分の子供だと言われてしまうかも怖かった。

運良く他の下校する生徒が固まって歩いて来たお陰で、ミラはミレの手を引いてその場所から足早に動いて行った。

ジフンはシッカリとミレの名札を見ていた。

ペク・ミレ・・・・・パラン高校・・・・あの時結婚した男の娘か?

まさか、ミラの生んだ娘なのか?

ジフンの知っているミラと似ているが、凛とした表情はミラと結婚した教え子のスンスクと似ていると思った。

20年前に捨てた婚約者だったホン・ミラ。

あの時に別の女と結婚をして子供が生まれたが、結局はその結婚生活も続かず、また別の女で今の妻と再婚をした。

自分の血を引いた娘が昔捨てた婚約者と同じ名前で、その友達が捨てられた婚約者の娘。

終ったと思った事がまだ終わっていなかった事に、ジフンは自分の過去の事を思い出し苛立った。

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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