未来の光(スング) 43

「スング・・・あの・・・・」 

身体の大きなスングの下で、小さな優花が抜け出そうとしても抜け出せない。

 「スング・・・・」 

「優花?」

 僅かな隙間から、優花の手がゴソゴソと出て来た。

「・・・・待って・・・・準備が・・・・・」 

「ゴメン。」

急いで起き上がると、その反動で優花の小さな身体が少し跳ねて、パジャマが胸辺りまでまくれ上がった。 

「カバンの中に・・・・あるの・・・」 

「着替えはチェストに入れていただろう。」

 そう言いながらキャリーバックに手を掛けると、それを押さえた。

 「違う、ショルダーバックの中に入れてあるの。やっぱりこういうのは男の子がするんだよね?」 

何の事かスングには理解が出来なかった。 


頭はいいのに、優花は時々意味不明な事を言いだす。

 「スングは経験者だけど、私は初めてだから・・・・」 

スングから受け取ったショルダーから小さな巾着を取り出し、ガサガサと探りながら一つだけ小さな包みを取り出した。

 「持って来たのか?」

 「うん、友達に話したら持って行った方がいいって。彼が経験者なら、彼女と泊まりの旅行に行ったら、我慢が出来なくなる・・・・って。」

 「言ったじゃないか。オレは責任が取れない事はしないし、今の目標はお互いに医師になる事。結婚を約束した相手でも同じだ。それまでは優花の身体には触れない。それを使っても100%の保証はないから。」

 優花が持っているその包みと巾着を奪い取ると、開いていた口からソレが全部飛び出した。 


「どれだけ持って来たんだよ!」

 「3箱分・・・・」 「3!!あの時は1箱だったろう。」 

時々優花の思いもよらない行動に、スングは言葉が出なくなる時がある。

 「1箱は、出発前の日に買いに行って・・・・ひと箱は、お母さんから貰ったの。結婚の意思のある人と、長い旅行に行くから持って行きなさいって・・・・・子供が出来て急いで式を挙げる事にならない様にって・・・・医師になる前に子供が出来たら、自分のことで精一杯の優花だから困るだろうって・・・」 

娘の身体を思ってした優花の母親のした事に、二人揃って必ず医師になって欲しいという気持ちからだと言う事が伝わって来る。 


「その後にまた1箱って・・・・お前・・・一日に何度もソレを使わせるつもりか?」

 「だって・・・・判んないんだもの・・・この間の薬屋さんに行ったら、レジの人が覚えていて・・すっごく恥ずかしかった・・・・」

 一つの事が気になったら他の事に気が廻らない優花だ。

 周囲がその小さな身体で何をしている子だろうと、物珍しい物でも見る様にしているとは想像もしないだろう。 


「優花がエッチな事ばかり考えて勉強が手に付かないのなら、ご希望の事をしてやってもいいぞ。」 

「ううん・・・・そんな・・・出来ればもう少し心準備が出来てからにして欲しい。体験した人の話を聞いたら、怖くて・・・・・」 

怖がりの優花らしい言葉だった。 


「小学校からの仲良しの美奈ちゃんと希恵ちゃんが、自分の体験談を教えてくれたら怖くって・・・・スング?」 

初めて聞いた優花の友達の名前に、スングの胸がズキンとした。

 ミナ・・・・キエ・・・・忘れかけていたキーワードのように頭に入って来る。 

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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