思わぬ同居人 31
「大学に行かないって・・・・・どうするんだ?行かなくて。」
「さぁ・・・・・」
みんなの動きが止まったが、オレの言いたいことを止められそうにもない。
ただ、どう言ったらいいのかさえ、自分の気持ちを伝えることが難しい。
「さぁ・・・って、何かやりたいこととかあるのか?」
「パパ・・・・食事が済んでからにしない?ギドンさんやハニちゃん、それにウンジョが食べられないわ。」
無理だ。
オレがこの話を家族以外の人の前でしたことは、もう消せないことだから。
無言で食べる夕食にしてしまったことに多少悪い気もするが、自分の今の迷いをどう表わしたらいいのか、情けないが判らなかった。
「さぁ・・スンジョ、ワシに話して見ないか?お前の考えを出来るだけ尊重するが、お前には何れ会社を継いでもらいたいからな、参考にするよ。」
「生きている意味が解らない。」
「?」
ずっと思っていた。
本を一度読んだら頭に記憶されるし、先生の説明などいらない。
勉強なら大学に行かなくても出来る。
自分が嫌だった。
人より優れているからと一度も思ったことはないが、記憶力がいいのがすごく嫌だった。
ハニのように、新しい事や自分の興味のあることを、楽しめる頭脳が羨ましい。
元々、親父とは会話は無くても信頼して貰えたから、自分の判断で行動していた。
口数の少ないオレの気持ちを、ポツンポツンと言った後、親父の悩んでいる顔を見て感情を押し殺して大人たちの言うとおりのレールに乗った方がいいのかとも思った。
「まぁいい・・・時間もまだあるし、どちらがいいのかを決められないのなら、パパの気持ちを考えてテハン大を受験だけはしてほしい。」
時間もまだあると言っているうちに、きっとすぐにその時が来てしまうだろう。
この虚しさを埋めることを誰に聞いたらいいのか。
本当に羨ましいよ。
ハニの様にお気楽な頭が 。
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