思わぬ同居人 49
「ハニちゃ~ん、遅くなるわよ・・・」
「はぁ~い!」
今日は大学の入学式。
高校を卒業してから半月。
新しい出来事の始まりの日ではあるが、変わったことは特になかった。
たった一つある事は、今日から大学生だと言う事。
朝目覚めると、スンジョは熱めのシャワーに入る事にした。
別に熱めのシャワーに入って、完璧な自分の一日を始める習慣は何年も変わる事はなかった。
髪の毛をタオルで拭きながらシャワールームのドアを開けると、入学式の服に着替えたハニと出くわした。
「あ・・おはよう・・・スンジョ君。」
「・・・・」
朝シャワーをしていたオレに驚いたハニは、何かを話さないといけないと思ったのか、スンジョと合わせていた視線を外しながら、どうでもいい事を話し始めた。
「今日から大学生だね・・・」
「そうだな。」
「友達が早く出来るといいね。」
小学生のガキか・・・・友達を作る為に大学に行くわけでもないぞ。
「ハニちゃぁ~ん、スンジョも早くしないと遅れるわよぉ~」
「は・・はぁ~い。」
「先に行くね。」
「どうぞ・・・」
グミに呼ばれて急いで降りて行くハニを見て、スンジョは自分の部屋に入ると、ドライヤーで髪の毛を乾かし、糊の効いたシャツに袖を通した。
ここまでは、高校と左程変わらない朝のスンジョとハニの様子。
高校の卒業式から、スンジョとハニの中が近づいてもいないし、むしろ後退したのではないかと思えるくらいにからかうような会話も、それに反応して怒って来る言葉もない。
謝恩会のあのキス以来、まともに顔を合わせて視線を外していた。
ハニが何を考えているのか、さっぱり見当が付かない。
グミとハニがリビングで朝の挨拶をしている言葉が聞こえて来た。
「おはよう。」
スンジョがダイニングにいるグミに声を掛けると、その服装にグミが少し驚いたように言った。
「新調したスーツはどうしたの?入学初日にセーターにシャツじゃ・・・ダメじゃない。」
「あんな白いスーツを着れるかよ。」
そうだ、ハニの白いスーツを見れば、お袋がオレとハニの為だとか称して作った白いスーツは、まるでペアのように合わせた物だと判るデザインだった。
ハニはカラーリングした髪にパーマを掛けたスンジョに見とれていた。
グミはそんなハニに、さっきまでスンジョの服装に文句を言っていたのを忘れたかのように聞いた。
「どう?スンジョの髪型は。」
「似合っています。どうしたんですか?」
どうした?
「大学生らしく、髪を染めてパーマをかけたの。スンジョったら美容院で小さな子供みたいに駄々をこねてね・・・・」
余計な事をお袋はすぐに言う。
それよりも、お前さ・・・オレが美容院に行ってから何日過ぎたか知っているのか?
昨日やそこらじゃないぞ、もう一週間近く前になる。
たかがイタズラでしたキスでオレを忘れる事が出来なくなるお前は、自分が言った事を忘れているのか?
スンジョ君の事を忘れて素敵な人と出会うのだから
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