声を出して 2
雨で濡れただけ、スンジョに『愛』の告白もないままの結婚宣言で熱を出したなんて、まるで小さな子供の知恵熱のようなものだ。
一日学校を休んで心配はしていたのに、帰宅してすぐにお袋に急かされるようにハニの部屋に入ってみれば、そこにハニは眠っていなかった。
「なに?」
不貞腐れて本を読んでいたウンジョが、ブツブツ言いながらハニの部屋のドアを開けたスンジョに聞いた。
「どうしてウンジョが、この部屋にいるんだ?」
「どうしてって・・・お兄ちゃんの所為なんだから。」
「お兄ちゃんの所為?」
「そうだよ、お兄ちゃんがハニと結婚宣言をしたから、熱を出したハニの看病をするからよくなるまで僕はこの吐き気がしそうな部屋に移動させられた。」
たしかにウンジョの言うとおり、ハニが使っていた部屋は吐き気がしそうなピンクやらレースやら、女の部屋だと判るインテリアに、長時間いる気持ちにもならなかった。
ウンジョが追い出されてハニの部屋にいるのなら、ハニはオレの部屋で休んでいるはずだ。
スンジョは自分の部屋のドアを勢いよく開けると、スンジョのベッドに入ってアイドル雑誌を読みながらバカみたいな顔をしていた。
開いたドアが閉まるのも気づかれないように音を立てずに閉めると、大きくため息を吐いてスンジョはウンジョが可哀想になり、リビングで寛いでいるグミの所に降りて行った。
「どうしてハニがオレのベッドに入っているんだ?」
「もうすぐ結婚する婚約者だからよ。」
「ハニが大学を出てから結婚をするんだ。まだ二年もあるだろう。」
「いいじゃない、お互いの両親も認めた結婚なのだから・・・・今どき結婚までは~なんて言わないでしょ?」
このファン・グミに反論しても、さらにエスカレートした行動をするし、反論しなくてもエスカレートをするから厄介だ。
仕方がない、ここはファン・グミの裏を書いて期待をさせるようにしてやるか。
スンジョは下りて来た時とは反対に、浮かれたような足取りで二階の自分の部屋に向かった。
内心は、足音を大きく立てて怒りを表現したい所だった。
「ハニ、入るぞ。」
出来る限り怒っていない風を装って、下のグミに聞こえるようにスンジョのベッドでバカみたいな顔で本を読んでいるハニに声を掛けた。
0コメント