声を出して 14
「ママの料理は本当に美味しい・・・・・学校の給食は、まずくて食べられないよ。」
「まぁ~作ってくださる方は、みんなが美味しく食べてくれるようにと、一生懸命に作っているのだから、残さずに食べないといけないわよ。」
ウンジョ君が美味しくないからと言って、食べないわけないじゃない。
いつも学校から帰って来ると、『あ~今日も食べすぎた~お替わりしなければ良かった』って言ってるし・・・・
「今日のメインのおかず・・・感想を聞かせてくれない?」
「感想?」
グミはハニの方を向いてニッコリと笑った。
小憎たらしいウンジョが、今日の夕食はハニが作ったと言えばきっと文句を言って、ハニに喧嘩を売る事が判っているからだ。
「美味しいよ。ママの作った料理を食べすぎて、ワシは太って倒れたくらいだから。」
最近のスチャンは、食べる量を制限して健康に気を付けている。
ギドンは料理人だからと、特に何か感想を言ったりはしないが、グミの作った家庭料理は好きだった。
「お兄ちゃん、今日のおかずの感想はどう?」
「どう・・って、別にいつもと変わらない・・・ただ・・・」
「ただ?」
「これ・・・ハニが作っただろう。」
グミもハニも何も言っていないし、いつもハニはグミが夕食の準備をする時に、手伝っているからそう思う事もあるかもしれないが、ハニの料理の腕はよく知っている。
「どうして判ったの?」
「いつもよりも、焦げが目立つ・・・・」
たしかに、火加減も調味料の量も、全てグミが傍に付いてタイミングをハニに言っただけだったが、よく見ないと判らない焦げが少しだけあった。
「ハニが作ったの?じゃぁ・・・食べるのを止めようかな?」
「ウンジョ、ほとんど食べ終わっているのだから、それを理由にしないの!」
ハニはスンジョが何も言わなくても、作った人を当てた事が嬉しかった。
美味しいとは言わなくても、当ててくれただけでも十分だと思っていた。
「ところで・・・・・今度の水曜日の予定は?」
「僕、友達の誕生日会に呼ばれている。」
「ワシは、ユン会長とゴルフだよ。」
「店の従業員とピクニックの予定だけど・・・・・・」
グミはニッコリと笑ってスンジョの顔を見た。
「スンジョは?予定はないでしょ?」
「ないけど、図書館で調べ物をしようかと思っている。」
背筋を伸ばして、家族の顔を見てグミは咳ばらいをした。
「パパもギドンさんもウンジョも・・・その予定は、全部キャンセルをして!」
「ママ・・・ユン会長との接待は大切だから。」
「ユン会長にも、招待状を送るわ。」
「何か予定があったのかな?」
「大変だったのよ、会場を抑えるのは・・・・会社の名前で取ったの・・・・・お兄ちゃんとハニちゃんの結婚式の会場。」
スチャンもギドンもウンジョも驚き、当然ハニも驚いたが、一番驚いたのはスンジョだった。
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