声を出して 27

「判った。すぐに着替えて行くね・・・・・・」 

「出掛けるの?」

 「引き出物を選んでいる時にすみません。パパが明日の仕込みが終わったから、今からどこかに行かないかって。」

 ≪ソ・パルボクククス≫が定休日であっても、ギドンは仕込みで店に出ていて、定休日に父娘で一緒に出掛けた事は母が亡くなってから15年以上経っていても数回しかなかった。 


「行ってらっしゃい。結婚式前の、ギドンさんと過ごす大切な時間を楽しんで来て。引き出物も数は把握しているから、発注はおばさんがしておくから気にしないで。さぁ・・・行ってらっしゃい。」 

スンジョと喧嘩したままで進んで行く結婚の準備。

 おばさんが『スンジョは、ああいう態度を取っても、ハニちゃんとの結婚式を延期したりしないから』と言ってくれた。 

スンジョ君はいつも何も言ってくれないから、考えている事が判らない。

 声に出して言ってくれないと、私はバカだから判らないよ。

 判っている事は、スンジョ君が怒っているのは買い物に時間を私が掛け過ぎた事だけ。 



「ハァー・・気まずいなぁ・・パパとデートでをして、気分転換したほうがいいかなぁ・・・パパには悪いけど。」

 ハニは≪ソ・パルボクククス≫の店のドアを、静かに開けた。 


「パパ・・ス・・スンジョ君・・・・どうして。」 

「ハニとパパと三人で行きたい所があるんだそうだよ。」

 「どこに?」 

スンジョは腰掛けていた椅子から立ち上がって、ハニの横を無言で通り過ぎて外に出て行った。

 暫くすると、また店に戻って来た。 


「おじさん、行きましょう。」 

「そうだな、のんびりしていると帰って来るのが遅くなる。」

 「どこに行くの?ねぇ、パパ・・・」 

「スンジョ君が三人で一緒にどうしても行きたいと言ったんだよ。」

 「だから、どこに行くの?」 

スンジョには聞きづらく、ギドンに聞くが応えてくれない。 

それでも、いつもの様にしつこくスンジョに聞いてもいいが、喧嘩をして昨日から口を利いていないから尚更聞きづらい。

 本当は父と一緒に後部座席に座りたかったが、仕方なく助手席に座った。 

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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