声を出して 26
ハニとグミは、沢山のパンフレットを広げケーキと紅茶を口にしながら、結婚式や新しい生活に必要なものを選んでいた。
「ドレスの代金を今日支払って来ました。」
「ゴメンね、ハニちゃん。へそ曲がりのスンジョだから。」
「そんなことないです。私があれやこれやと悩まなければ、きっとすぐに決まっていたと思うんです。」
待つことが嫌いなスンジョ君は、いつも私よりも先に歩いてくれている。
高校の時の定期テストで50番に入る為に勉強を教えてくれた時も、優しく教えてはくれなかったけど、厳しくてもとても分かりやすく教えてくれた。
先生よりも分かりやすかったかもしれない。
時々、怒鳴られてノートで頭を叩かれたりしたしけど、それはスンジョ君がほんの少しの間に、私が出来ない所を見つけてくれたから。
「引き出物はこれで良かったかしら?おばさんが勝手に決めてはいけないから、いくつかチェックをしたけど、ハニちゃんがいいと思うものにしてもいいのよ。」
「私はどんなのがいいのか判らないし・・・・友達の中で一番早く結婚するから・・本当に判らないです。ママが生きていたら、こうして一緒に選んでくれたのにって・・・・・」
「おばさんを頼ってもいいのよ。もうすぐ、私はハニちゃんのお母さんになるのですから。」
グミは嬉しそうに言うと、フフフッと声を出して笑った。
娘が欲しかったグミと、母とこうして過ごしたかったハニは、これからは本当の家族になるのだと思うと、嬉しくて仕方がなかった。
スンジョと結婚が決まってからは、今まで以上に仲の良い二人の姿に、二階からリビングを伺っているウンジョは兄だけではなく、母までハニに取られたと思ってはいても、内心は自分にも欲しかった姉が出来た事は誰にも言えないが嬉しかった。
「それにしても、スンジョはどこに行ったのかしら・・・・・朝から出掛けて・・・」
「人に会うって言っていました。」
「人に会うって、そんなに親しい人はスンジョにはいないのに。どうせ、また本屋にでも行っているのよ。」
おばさんはスンジョ君が昨日の夜から何か考えている事に、結婚式も近くなって来ているから少し不満みたい。
それは私も同じだけど、私の口からは急かすようなことはとても言えない。
だって、私はスンジョ君と、結婚する事が夢見ているようだから。
「ハニちゃん、携帯が鳴っているわよ。」
「あ・・・はい・・・・」
ハニは待ち受け画面に表示されている人の名前を観て、ニッコリと笑って通話ボタンを押した。
「はい・・・なに?」
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