声を出して 33
ギドンは娘婿になるスンジョの背中を見ていた。
自分よりも若くて頭もいい、こんなにいい青年に愛娘を嫁がせることが出来て良かったと思った。
早くに母親を亡くし、小学生の頃まで祖母が甘やかして過ごしていた。
祖母が亡くなり男親と二人での生活は、仕事でかまってやれなくていつも不憫に思っていた。
いつか嫁ぐ日が来るとは判ってはいたが、まさかまだ大学生のうちに嫁ぐとは思ってもいなかった。
「おばあさん、お義母さん。あなた方の大切な娘さんと結婚します。気に入ってくださるでしょうか?最近のハニは、聞き分けが悪く手こずっています。」
「大っ嫌い・・・・・」
「・・・嫌い?」
「いえ・・・好き・・・」
「でも、とても心が綺麗で優しい娘に育っています。まだ私は学生で未熟で、時にはハニを寂しがらせてハニを泣かせるかもしれません、が・・お義父さんに助けていただきながら、あなた方の大切なハニと生涯幸せに暮らします。」
まだ式も挙げていないのに、スンジョ君がパパとママをお義父さん・お義母さんと言ってくれた。
喧嘩をしたのも、私がスンジョ君の気持や考えも聞かないで独りで燥いでいたから。
人気のお店だとか、人気のデザイナーの作品だからと言って調子に乗って、流行りの物ばかりを取り入れた結婚式をしてはいけない。
スンジョ君に謝りたい。
謝って、二人で決めた結婚式にしよう。
この先、何十年も一緒に暮らして行くのだし、ずっと大好きな気持ちを捨てることなく想い続けていたスンジョ君に嫌われたくない。
私の大切なママとおばあちゃんにも挨拶してくれるなんて、すっごくスンジョ君は素敵で優しい世界一の私の旦那様。
「おばあちゃん、ママ・・・・私、結婚するんだよ・・・とっても素敵な世界一の人が私の旦那様になるの・・・ママが叶える事が出来なかった夢を私が叶えてあげるから、ずっとずっと見守っていてね。」
ハニや・・・・・パパとママが叶えられなかったことを、お前は叶えてくれよ。
それが、ママが最期にパパに言った願いだから・・・・
ギドンは目頭を押さえて、青く澄み渡った空を見上げた。
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