声を出して 40
おばさんは私とスンジョ君が泊まって来ると思っていたみたいだった。
「あなた達の夕食は、準備していないのだけど・・・・」
遅い時間でもあったし、お腹が空いて眠れそうもなかったから、インスタントラーメンでも食べようと思った。
「おばさん、インスタントラーメンを自分で作るので、休んでもらってもいいですよ。」
「うちにはインスタントラーメンはない。」
インスタントラーメンなら、よくパパのお店が忙しくて夕食が作れない時に買って来て作っていたから、情けないけどスンジョ君に作ってあげられる唯一の手料理になるはずだった。
「ごめんねぇ~ハニちゃん、私は専業主婦で、時間を持て余していたからインスタント物は買わないで、全部自分で作っていたの。」
さすがと言うか、やっぱりスンジョ君の頭の良さはそこから来ているのかもしれないと思った。
私はパパの手料理と言うのか、賄も手料理であったけど、待ちきれなくてインスタントラーメンばかりを食べた時期があった。
「いいよ。適当にある物で食べるから、お袋は休んで。」
グミはそう?と返事をして寝室に入って行った。
適当にある物で食べると言っても見当が付けられるほど、ハニにはレパートリーがないというより何も作れなかった。
そんなハニの腕前を知っているスンジョは、それこそ適当に冷蔵庫の中に入っていた野菜を切ったり卵をスクランブルしたりベーコンを炒めていた。
「いいの?それって、明日の朝食の食材じゃないの?」
「大丈夫だ。ベーコンも卵もストックはあるし、明日の朝の分だけを残して使っても、暇なお袋が買い物に行くから構わないさ。それに、ベジタブルサラダをこれだけ食べれば、直ぐに満腹になるけど、明日の朝に響かない。」
「たしかに・・・・」
何も言わないスンジョでも、それなりに考えてササッと冷蔵庫から出して作っている事に、女として情けない思いになった。
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