声を出して 50
女が4人、男が4人
人数的には平等だが、ハニの友達二人が来ただけで賑やかで明るい家の中だった。
『うるさい』と怒鳴りたかったのは、ハニがこの家に来た時の偏屈なオレ。
今は偏屈じゃないのかと聞かれれば、今でも偏屈なのかもしれない。
ハニとお袋が楽しそうに話しているのを遠巻きに見ているのが、結構楽しいと言ったらやっぱり楽しいし、この家にオレやウンジョの友達も来た事がないのに、ハニがこの家に来てからは来客というものが度々あった。
「スンジョもワシに似たのかな?」
「親父に?」
「ハニちゃんが楽しそうに笑っていると、スンジョも楽しいだろ?」
ニヤッと笑ったスチャンの顔を見て、自分の顔が笑っていたのだと気が付いた。
「まさか・・・・」
親父に似ていると思うところもあるが、オレは親父の様に妻に甘い夫にはならないだろう。
「ワシはこういう見かけで、決して顔がいいとか背が高いとか、スポーツが出来るといった男じゃないだろ?出来るのは勉強だけ・・・・」
「スチャンは、成績順位が1位不動だったからな。」
子供の時からの親友が親父にはいるが、オレには親友という人がいない。
親友ではないが、なぜかギョンス先輩やギテ先輩という年上の人とは繋がりはある。
同い年の親友が欲しいとは、今もこの先も思う事はないだろう。
「スンジョはまだ学生だから、勉強に夢中になるかもしれないが、大学を出て社会人になったら仕事に夢中になるんじゃないぞ。」
「はい。」
「そう言ってもワシは、仕事が忙しくてかまってやれなかったから、ついついママのやりたいとおりにさせてしまったから、たまにとんでもない事を仕出かしてしまう。それは、反省をしないといけない所だな。」
スチャンとギドンはビールを飲みながら、明日はいよいよ結婚式だというこの時間の家の中の明るい空気に酔っているようだった。
「スンジョ君。」
「はい。」
「ハニは鈍感で、たまに・・・・よく思い違いをしてしまうかもしれないし、躾が出来ていないからスンジョ君が注意してやってくれよ。」
おじさんはいつもハニに躾が出来ていないと言っているけど、ハニはちゃんと相手を思って行動をしている。
大丈夫です、オレはちゃんとハニを幸せにしますから。
と声を出して言いたくても、オレはどうしてもそれが出来ない。
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