スンジョの戸惑い 24
朝から、ハニがオレの方を向いてニヤニヤしている。
まぁ、こんなことは何時もだが、今日は少し違う。
オレの顔を見ながらニヤニヤしては、何かを思い出したようにクスクスと笑っている。
「何だよ。」
「ウフッ!べぇ~つに!おばさん行ってきまぁーす。」
「気をつけてね。お兄ちゃんも、早く行かないと。」
ハニだけでなくお袋の妙に嬉しそうな表情が気になる。
日に日に気心が知れて来ているからなのか、二人が本当の親子に近づいているようで、何かとハニと近づけさせようとしているお袋のペースに入りそうな気がしていた。
登校の電車の中でも、ハニがオレの顔を見ながら、クスクスと笑っている。
いい加減、理由もなく笑われている事に頭に来ていた。
おまけにお袋が仕掛けたのか、体育の授業前に着替えようと、鞄から袋を出した時に見えた名前がオレの物ではなかった。
誰にも見つからなかったのを確認して、ハニのクラスまそれを隠して持って行った。
「オ・ハニ!」
嫌だった。
1クラスと違う雰囲気の7クラスは、オレがハニを呼んだことで興味津々に見ていた。
「なに?」
「いいから体操着を持って一緒に来いよ。」
オレはハニの腕を引き、裏庭まで連れて行った。
「その体操着の中、オレのだ。」
オレはお袋が仕組んだのだろう、体操着の交換をして貰おうと思っていた。
「スンジョちゃん!」
「スンジョちゃんだと?」
「女の子の格好は嫌いじゃないでしょ?」
「どういう意味だ?」
ニヤリと笑ってハニは、教室からオレ達の方を見ているクラスメートの方をチラッと見た。
「ジャジャ~ン!!」
ハニがポケットから出した1枚の写真。
それはオレが忘れたかった魔の思い出の写真。
「返せよ。」
「条件を呑んだら返していいわ。」
「条件?」
オレはその写真が、公表されないためならハニが出した条件を呑むつもりだった。
「あの教室での勉強が出来なくなったから、家でも勉強を教えて欲しいの。私ね、どうしてもパラン大に進みたいから。」
家で勉強を見てやるのはちょっと躊躇した。
お袋がオレ達をくっつけたがっていたから、家では全く無関心に装いたかった。
「判った・・・・・その写真はいつ返してくれるんだ?」
「今返したら、勉強を教える約束していないと言われるのが嫌だから、1週間勉強を教えてくれた時に渡すわ。」
ハニのしたたかさと、オレに手紙を渡す勇気もなかったハニが同一人物とは思えなかった。
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