スンジョの戸惑い 26
柔らかなハニの唇の感触をもっと知りたくて・・・・・
「う・・・・ん・・・」
眠っているはずのハニが目を覚ました。
スンジョは、ハニの唇に触れていた長くて綺麗な指を離した。
「あれ?私・・・眠っちゃったんだ。」
「数学で眠れるなんて、羨ましいよ。ほら、この問題をヤレ!!」
指に残るハニの唇の感触を忘れようと、スンジョは固く拳をにぎった。
外見も性格も自分のタイプでもなかった女の子なのに、一生懸命に勉強をしているハニがどんな子なのか急に気になって来た。
毎日オレに怒鳴られ呆れられても、居眠りもしないように頬をつねったり自分で自分の身体を痛めつけているハニに、ある意味尊敬の気持ちもあった。
「ゴメンね。もう一度考える。」
そう言って、時間がかかっても納得が行くまで諦めない。
「で・・・・出来た!出来たよスンジョ君!!」
大して難しくもない問題なのに、大袈裟に喜んで、これ以上ないくらいに嬉しそうな顔をした。
「よく集中して問題を解いたな。」
子どもっぽいかもしれないけど、ウンジョにするように頭をクシュクシュとした。
「どうして一週間だけ勉強を教えて欲しいんだ?」
ハニは、言いにくそうにモジモジとしながら話し始めた。
「来週から学年末試験でしょ?本当はね、もっと早くから取り組めばよかったんだけどね・・・・私・・・スンジョ君と同じ教室で、勉強したいの。」
オレと一緒の教室で?
無理だろう。こんなに簡単な、問題まで解けないのだから。
「まあ、オレと一緒のクラスは無理だろうから自習室に行ける50番なら何とかなるかもな。オレが作った模擬問題をやってみろ。まぁ、頑張れよ。」
思わずオレがハニに掛けた言葉は、自分で思う以上に優しく言っていた事に驚いた。
嬉しそうな顔をしながらオレが作った問題を解き始めたハニを見ていて、勉強を始めると直ぐに眠っていたハニではなく、自分の方がいつの間にか眠ってしまったことに気が付かなかった。
そんなオレをハニが見ていて、つられて二人して机に伏して寝てしまったことが、後からどうにもならないことになってしまうとは思わなかった。
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