スンジョの戸惑い 28
「試験・・・頑張れよ。」
顔はハニの方は向いていいなかったが、ハニに掛けた言葉だと判ったのか嬉しそうに笑っていた。
背中で判るハニの笑顔。
なんだか不思議とスンジョは気分が良かった。
いくら自分がIQ200の天才スンジョでも、一週間で最下位から50番にすることなんて無理だと判っていた。
スンジョ自身努力もなしに今まで生きて来たから、必死に努力するハニが新鮮に見えた。
ハニが苦手としている数学の問題を見て、スンジョはニヤッと笑った。
全ての試験が終わり、ハニから魔の写真を返してもらおうと下駄箱で待っていた。
ハニはいつも通りミナとジュリと歩きながらやって来た。
廊下の遠い所からポン・ジュングが、ハニの姿を見つけて追いかけて来るのが見えた。
ハニはスンジョが自分の方を見ていることに気付いて、一緒に歩いていたミナたちから離れて駆け寄って来た。
「わざわざ、私を待っていてくれたの?」
何か勘違いでもしているようなハニの笑顔にスンジョは冷たく言い放った。
「返せよ・・・・」
「エッ・・・・・・・」
「写真・・・」
ハニはちょっと待っててと言って、背負っているリュックから写真を出した。
ヒラヒラロさせながらスンジョの顔の前に差し出すと、他の生徒に見られては困るスンジョは引っ剥がすように写真を取り上げた。
「スンジョ君・・・・・教えてくれた通りの問題が出たよ。」
「当たり前だ、自分が教師なら出そうと思った問題を作ったんだから。これで50番に入らなかったら本当にお前は救いようのないバカだ。じゃあ・・・・・」
スンジョはそう言うと、ハニに背を向けてその場から去って行った。
「何々?ペク・スンジョと何かあったの?」
「何でもない・・・・・・大切な物を、私が持っていたから返しただけ。さぁ私たちも帰ろうか。」
ハニとミナ・ジュリも靴を履きかえて、校舎の出口に向かった。
「ハニや~待ってくれやぁ~。」
息を切らしてジュングが走って来た。
「テストも終わったから、甘い物を食べに行くんだけどさ、ジュングはガールズトークを聞きたいの?」
「チャウチャウ、ハニの机の上に教科書が忘れてあったから持って来たんや。」
ジュングがハニに教科書を渡した時に、ハラリと綺麗な布に包まれた物が落ちた。
「あっ!お守りが・・・・・・・」
ただ布に包まれていただけのお守りは、開かれて中から一枚の写真が落ちた。
「な・・・・・・・・何・・・これ。」
拾い上げたジュリがそれを見て大きな声をあげた。
「ハニ!!!何なのこの写真は!!!」
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