スンジョの戸惑い 33
スンジョの唇がハニの唇に触れるか触れないかの瞬間、ドアがノックされて呼ばれた。
「スンジョ君・・・・・お風呂が空いたよ。」
えっ?スンジョ君?
どうしてハニがドアの外からオレを呼ぶんだ?
意識がしっかりして目を開けると、そこは自分の部屋の自分のベッドだった。
オレは夢を見ていたのか?
本を読んでいて、いつの間にか眠ったんだな。
「スンジョ君・・・・・・・・寝てるのかなぁ・・・・・・・・・」
静かにドアが開いて、その隙間からひょっこりと顔を覗かせて来たのは、今まで目の前にいたはずのハニだった。
「起きてたんだ・・・・・お風呂空いたよ。」
「ああ・・・・・・」
ウンジョもお袋たちと親戚の家に一泊で泊まりに行って、今日この家にいるのはオレとハニだけだった。
シャンプーの香りをさせて、ハニが不思議そうにオレの顔を眺めている。
「スンジョ君・・・・具合が悪いの?変だよ・・・・・・・・」
変かもしれない・・・・だけど何だろうこの気持ち。
「ハニ・・・ちょっとこっちに来てくれないか?聞きたいことが有るんだ。」
キョトンと首を傾げて、何のためらいもなく部屋にハニは入って来た。
ベッドの端に腰掛け直すと、ハニはオレの前に立ち止まった。
「オレは、お前より頭がいい。」
ハニはムッとした。
「そんなこと言わなくても判ってるわよ。」
そりゃそうだ、オレはトップから降りたことは一度もないんだから。
「だけど・・・・・・判らないんだ。お前がこの家に来てから、気持ちが落ち着かなくてさ・・・・胸が苦しい・・・・・・・お前をからかったり、泣かせたりして少しは気が紛れるんだけど・・・・・スッキリしないんだ。お前はオレの嫌いなタイプのはずなのに、お前の笑顔が気になって・・・・」
ハニはクスクスと笑いだした。
「変なのスンジョ君・・・・・・スンジョ君って、誰かに興味を持ったことが無いの?」
ハニのその言葉の意味が解らなかった。
オレより頭の悪いはずのハニなのに、何故だろうかハニが言う次の言葉を待っているオレがいる。
「私なんて、ずっとそうだったよ。スンジョ君に一目ぼれして、告白する勇気もなかったのにラブレターを書いて・・・・・・結局振られちゃったのに、意地悪されても泣かされてもそれが嬉しいの。スンジョ君に嫌いなタイプだって言われても・・・・・・スンジョ君が・・・好きだから・・・・・スンジョ君・・・・もしかして・・・・・」
好き・・・・・
嫌いなタイプのハニが好き?
あのよく動く口から出て来た言葉に、オレの心が・・・・・
「気にしなくて良いよ・・・・・私スンジョ君の事を忘れるから・・・・」
「・・・れられるのか?」
「えっ?」
「オレの事を忘れられるのか?」
無防備に立ち尽くすハニの腕を引き、オレは何を思ったのかふっくらしたよく動く唇にキスをしてしまった。
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