スンジョの戸惑い 34
フンワリとして温かくて甘い・・・
これも、夢だろうか?
ハニの眠そうな目がビックリして、瞬きを忘れたのかと思うくらいに大きく見開いていた。
おい!普通はキスをする時は目を瞑らないか?
キス?
何でオレがハニにキスをしているんだ?
静かにハニの唇から離れると、スンジョは何を思ったのか、多分心とは反対と思う言葉が口から出た。
「バ~カ・・・・・・ザマ~ミロ。」
呆気にとられて瞬きも忘れ、涎が垂れそうなほどに口をポッカリと開いたままのハニ。
その顔を見て、スンジョは自分が今言った事の意味を忘れそうだった。
「おい!おい!何ボケッとしてるんだ。」
オレの声掛けにようやく状況が判ったハニは、泣くでもなくオレのように、相手に冷たい言葉を掛けるわけでもなく、今の時代死語になっているような言葉が出て来た。
「大人たちがいない間に・・・・・・いけないよ。最初は健全なお付き合いから・・・・・・・」
スンジョは動揺を隠せないハニを見て思わず笑いがこぼれた。
「面白れぇーの。まず健全な・・・・だって?健全ってなんだよ。お前はオレが好きなんじゃないのか?」
これ以上言うんじゃないと、自分の心の奥で別の自分が言っているみたいで、それを止めることが出来ないかった。
だけどどうしてなのかな?ハニをからかうのが楽しい。
オレだけを見ているその瞳が、笑ったり泣いたり怒ったり・・・・・クルクルと表情が変わって、オレには出来ないことだ。
「どうして・・・・・・どうして・・・・そんな意地悪をするの?」
スンジョは片方の口角をクイッと上げて笑った。
「さぁな・・・・、お前をからかってみたら面白かったから・・・・・・」
違うだろ、そんなこと言うつもりなんかないだろう。
「オレが来いと言ったら来るんだろ?オレが空いている教室で勉強を教える約束をしたら毎日来たじゃないか。オレの言うことなら何でも聞くんだろ?」
見開かれたハニの目から大粒の涙が流れた。
それを見た瞬間、スンジョの心はズキンと痛くなった。
「酷い・・・・・・酷いよ・・・・・私はスンジョ君が好きだけど・・・・・・」
ハニはスンジョにキスをされた唇をゴシゴシと拭いて、スンジョの部屋から飛び出した。
どうしたんだ・・・・あんな馬鹿な夢を見た後だからか?
違う・・違う・・・・・オレは・・・
ハニが好きになったんだ。
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