スンジョの戸惑い 38
「おい!」
「何?」
スンジョは、誰も二階に上がってくる気配がないことを確認すると、ハニの方に近づいて小声で話した。
「言うなよ。」
「何を?」
イライラしながらハニの耳元で囁いた。
「オレがキスをして、好きだっていった事さ。」
「面倒なんだよ、お袋に判ったらしつこく聞いて来るから。」
ハニは、昨夜の出来事を思い出して顔を赤くして頷いた。
気が付いていなかった.。
二人のそんな様子を、息を忍ばせて見ていた人物がいることに。
お兄ちゃん・・・・・ハニとあんなに顔を近づけて・・・・・ 何を話しているんだろう。
ハニが顔を真っ赤にしてるし、それにお兄ちゃんの表情がなんだか優しく見える。
あんなに優しい顔でお兄ちゃんが他人(ひと)に話をするのは見たことが無い。
もしかして・・・もしかして、お兄ちゃん・・・
まさか・・・嘘だよね・・・・
スンジョは後ろから自分を見ている視線に気が付き振り向いた。
ウンジョはスンジョの視線から隠れようとするが、スンジョの眼力に身体が、凍りついて動く事が出来ずに立ちすくんだ。
そんなウンジョに安心させるように、いつも弟にだけ見せる優しい顔をして人差し指を唇に立てた。 「シーッ 内緒だよ。」
と、合図を送った。
ウンジョは幼いけれど、大好きなお兄ちゃんのために見なかったことにしようと思った。
それは、ママに見つかってしまったら、家の中が大騒動になることは判っていたから。
「ねえ、パパ。スンジョはきっとハニちゃんが好きだと思うの。」
「ハニちゃんは、明るくて素直でいい子だからワシも好きだよ。」
いつも穏やかな顔で家族を見守っているスチャンは、揉め事とは縁が無いような人だ。
一方、グミは思いついたら周りがどう思おうと、自分の思うままに行動をする。
それがスンジョにとって、いつも頭痛の種だった。
「ギドンさんと親戚になれるように、私これから頑張るわね、パパ!」
これからグミがしようとしていることが何なのか、まだ誰も気づいていないし危機感を感じていなかった。
ただ、スンジョだけが自分の思いに戸惑いながら、グミの行動を警戒しなければならない思っていた。
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