スンジョの戸惑い 39
自分の気持ちに気付いたのはいいが、それを知ったハニのオレに対する態度が心配だった。
あれほどお袋には言うなと言っても、バカ正直と言うのか状況を読めないと言っていいのか、嘘がつけない性格が心配だった。
「ねえ・・ハニちゃん。お兄ちゃんの事好き?」
「おばさん・・・・」
「私ね、ずっと女の子が欲しかったの。スンジョにウンジョ・・・二人とも男の子で、望みは早くスンジョに彼女が出来たらって、ずっとそう思っていたのよ。」
オレがいない所で、なんとかしてお袋はハニとオレを接近させようと企んでいるのが判っていた。
その為には、出来る限り家では目を光らせていないといけない。
お袋だけがオレの行動を見ているわけじゃなく、ハニがオレとのことをうっかりと口を滑らせるわけでもなく、まさかばれてしまうところがウンジョからだとは思わなかった。
それは、リビングで眠ってしまったあの日の翌日に学校に行く時に、まさかウンジョの目にそう映っているとは思わなかった。
「あれ?お兄ちゃんだ・・・誰を待っているんだろう。お兄・・・・・・ハニ?」
スンジョが地下鉄の入り口の前で立っていると、直ぐ傍のコンビニから出て来たハニにスンジョが笑いかけていた。
「サンキュー。」
「美味しいの?この缶コーヒー。」
「飲んでみるか?」
ハニに自分の気持ちを聞いてもらい、それが好きだということを知ってからは、ハニとこうして素直に話すことが楽しかった。
飲みかけの缶コーヒーをハニに飲ませると、嬉しそうに笑いながら一口飲んだ。
「間接キスしちゃった。」
ハニが恥ずかしそうに上目づかいにオレを見ると、その顔が何ともいえず可愛くて、コンビニの死角になる場所にハニを連れて行った。
「じゃあ・・・・直接・・・・」
軽く触れるだけのキスをした。
お兄ちゃんが飲みかけの缶コーヒーをハニに飲ませた。 あんなに優しそうな顔をするお兄ちゃんは初めてだ。
まるで、恋人同士みたい・・・・・・ あれ?どこに行くんだろ?コンビニの陰に・・・・・・・ えっ?えーっ お兄ちゃんがハニにキスをした。
ウンジョはスンジョのハニに対する態度に、びっくりして急いでその場を離れた。
スンジョもハニも二人のその様子を、ウンジョに見られていたとは気が付かなかった。
ウンジョはその日の夕方、家に帰るまで兄たちの朝の様子が頭から離れなかった。
「・・・・ジョ・・・ウンジョ・・・?はい、オヤツよ。」
家に帰ってから様子が可笑しい事にグミは気になった。
「ウンジョ・・・・何かあったの?ママに秘密はだめよ。」
「キスって・・・・・好きな人とするんだよね。その人が好きだからするんだよね。」
「普通の人はそうよね・・・・・・まさかウンジョ・・・あなた・・・ダメよ、まだ小学生なのに。」
椅子から立ち上がりウンジョは首を横に振った。
「違う・・・僕じゃなくて・・お・・・お兄・・・・・・ああ・・言えない。」
ウンジョの動揺に、グミのお節介行動発動のアンテナが動き出した。
「お兄ちゃんとハニちゃんじゃないの?ウンジョ。」
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