スンジョの戸惑い 40
「ママ・・・・ど・ど・・どどど・・・・・っどど」
「ウンジョ、お兄ちゃんが大好きだったから動揺しているのね。ママはあなた達をここまで育てたのよ。子供が何を好きなのかくらい判るから。それにね・・・・・・フフフフ・・・・、ハニちゃんを見てれいば判るわよ。」
グミの目がキラキラと輝き、ウンジョは引き気味に少し横にずれた。 どこにそんなアルバムを置いてあったのか、グミがアルバムをリビングのテーブルの上に置いてその中から何枚かの写真を取り出した。 ハニがスンジョを見ていたり、スンジョがハニの耳元で何か話していたり。
「ママ・・・・・この写真・・・・・・・どどどどど・・・・・」
「いいこと?ウンジョ。子供は親に隠し事をしても、見つかるということよ。ママはね、何が何でもハニちゃんを自分の娘にしたいのよ。」
グミの必死な話と形相で、ウンジョは怖くなって身震いをした。
「こ・・こここ・・・怖い・・・・・」
「でも、今日は失敗ね。現場を押さえられなかったから。いいわ・・・・・・・ウンジョ、ママは今から証拠を押さえに行くからおやつを食べて待ってなさい。」
グミはそう言うと、急いでどこかに出掛けた。 僕は絶対に、好きな子が出来てもママには見つからないようにする。 ううん、パパの親友の子供とは出会わないようにしよう。 ウンジョは小さな手をギュッと握って、グミが戻って来た時に捕まえられない様にと二階の部屋に入って行った。 グミが出掛けた場所。 それはスンジョとハニが利用する地下鉄の駅の近くにあるコンビニ。 店頭に並ぶ雑誌を立ち読みする振りをして、地下から出てくる二人を待っていた。
「来たわ。さあ、ファン・グミ・・・絶対に証拠を押さえるわよ。お兄ちゃんたちは絶対に真っ直ぐに家に帰らないから。」
毎日ではないが、時々二人の通学コースを確認しているグミは、この曜日の二人が立ち寄る場所に先回りした。 そう、二人が立ち寄る場所は、家とは反対方向にある公園。 今日は授業が早く終わる曜日のはずだけど、いつもこの曜日の日の帰宅は夕食が近い6時過ぎ。 この公園は、地域の憩いの場として子供の遊具は無いが広い敷地に、点在するベンチとストレッチの機具がいくつか設置されている。 散歩コースやストレッチが出来る器具が置かれてはいるが、夕方は人があまり利用していない。そして、昔からスンジョはここで筋トレをしていた。
「来たわ、来たわ・・・・・フフフ。」
物陰から証拠を掴もうと、グミはカメラを構えて集中した。 スンジョが座るだろうと思われる場所に仕掛けたマイクが二人の会話を拾った。
「スンジョ君・・・・・本当にいいの?」
「ああ。ハニの言うとおりかもしれないからな。」
「でも・・・・・いつまでも内緒にしていたら・・・・・・本当に、私はスンジョ君の彼女でいいの?」
フフフ・・・・・やっぱりね。 スンジョの言葉を、聞くことが出来たらそれが証拠よ。 スンジョはグミが見ていることを知っているのか知らないのか、周囲を見廻してからハニの横に座った。 長い腕をハニの肩に回して顔を近づけると、グミのカメラを持つ手に力が入った。 が・・・・・・グミの方からはスンジョの背中しか見えず見切り発進をするしかなかった。
「嫌か?ハニといると自分の殻を取ったようで気を遣わなくてもいいからな。」
「スンジョ・・・・・・く・・・ん・・・・」
二人が無言になった時、グミは物陰から飛び出した。
「お兄ちゃん、証拠を押さえたわよ。あなたはハニちゃんが好きなのよね。証拠を掴んだのだから逃げられないわよ。」
カメラと二人の会話を拾った証拠を得意げに掲げた。 この後、スンジョとグミの新たな戦いの幕が開いた。
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