スンジョの戸惑い 41
ハニへの想いをグミに・・・・いや違う、自分自身で認めたスンジョは、気づかないうちに自分の心が軽くなっていた事を知った。
キッチンに立つハニの後姿を見て、一人でクスッと笑うとそれに気が付いたのかハニが振り返った。
なんだろう・・・・・・ なんだかいい気分になるな、ハニの笑顔は。
心がフワッと温かく包まれるようで。
お互いに目で挨拶をした。
<おはよう>
<おはよう>
「お兄ちゃん・・・・・・どうかしたの?」
その言葉で、現実に引き戻された。 オレの横でウンジョが不思議そうな顔をして、オレの顔を見上げた。
「別にどうもしないけど、お兄ちゃん変だったか?」
コクリと、ウンジョは頷いた。
「いつものかっこいいお兄ちゃんと違っていた。」
確かに、お袋にハニへの気持ちを言ってから、自分の気持ちに素直に慣れたからなのかいつでもハニを見ていたかった。
「それはね・・・ウンジョ。お兄ちゃんに春が来たのよぉ~春が・・・・・フフ。」
「春って?普通季節は全ての人に平等に訪れるんだよ・・・・ママ。その人にだけ春が来ることはないよ。」
このまま放っておいたら、お袋の言いたい放題の展開になる。
「お袋・・・ヨーグルトが出ていない。」
「あら!・・・本当ね。ハニちゃんお願いね、冷蔵庫に入っているから持って来て。」
ハニがお袋からの頼みに、嬉しそうに返事をして動いている。
アイツも学校に行かないといけないのに、食事中にこき使うなよな。
「ウンジョは、今日からママの横の席よ。そこはハニちゃんが座るから。」
行き成りなんだよ、昨日の告白から直ぐに隣に座らせるか? まぁいいけど・・・・
顔が緩みそうなのを堪えながらスンジョは、表情を変えないようにして焼き上がったパンにジャムを塗った。
「なんで、バカハニがお兄ちゃんの横に行くんだよ。僕はお兄ちゃんの横の席に決まっているのに!」
何も知らないウンジョは、突然座る場所が変わったことに不満だ。
「お兄ちゃんはねウンジョ・・・・・・ハニちゃんが好きで、一時も離れたくないのよ。そのうちにお姉さんって呼ばないといけないから今から練習をしなさい。」
お袋の先走りの行動が気になるが、流石にまだ高校生の息子に早く結婚させる様なことをしないだろう。
毎日毎日ハニに自分の娘になれと言っていても、問題ばかり起こすお袋でも言葉だけの間は目を瞑ろう。
椅子を少し離して、ハニはオレの横に恥ずかしそうに顔を赤くして座った。
座った瞬間に香って来たハニの髪のシャンプーの香りが、またオレの刺々しい心を和らげるようだった。
二人揃っての登校も、いつもの朝と同じなのに顔が綻びそうになって来る。
相変らず短い足でオレの後ろをパタパタと急ぎ足で点いてくる足音を聞いていると、オレらしくないかもしれないけど人並みな事をしてみようと思って振り返って手を差し出した。
手をつないで行こうか、駅まで・・・・・・・・・
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