スンジョの戸惑い 45
誰だ?
たしかアイツは・・・・・・テハンのキム・アイン。
どうしてアイツがハニと一緒にいるんだ?
スンジョは二人の様子を、表向き他人事のように見ていた。
「メールありがとう・・・・・この辺に住んでいるの?」
ハニは一瞬誰なのか判らず、キョトンとしていた。
「エッと・・・・・・メモをくれた、テハン高校のキム・アイン君?」
「そう・・・・隣りに座ってもいい?」
ハニの返事を待たずにアインはハニの隣に座り、ハニの膝の上に乗っている本を見て目を見開いた。
「へェー、君って難しい本を読んでいるんだね。」
ハニは膝の上の本を見て、ハッとした。 スンジョ君・・・・どこまで買いに行ったのかな・・・・・スンジョ君とジュング以外こんなに近くで話をしたことが無いから如何したらいいのか判らない。
・・・・早く帰って来てよ・・・・・
「これは・・・・・私のじゃないの・・・・・・」
「そっかぁ・・・・お兄さんか誰かの?」
「まぁ・・そんな感じかな・・・・」
アインは目鼻立ちのはっきりした、韓国人とは少し違う整った綺麗な顔をしていた。
「アイン・・・・って、変わった名前ね。」
「そうだよね、変わっているよね確かに。僕のお母さんは日本人なんだ、日本名で<雅仁>って書くのだけどハングルだとアインになるんだ。」 屈託のない笑顔で話をするアインを引き気味に、ハニはスンジョが来るのを待っていた。
「ハニちゃんって・・・誰かと付き合ってるの?」
付き合ってるのかなぁ・・・・・・・スンジョ君に好きだって言われたけど、付き合おうとは言われたことなんてないし・・・・・・
「ハニに何か用か?テハン高校のキム・アイン。」
スンジョの冷たい声に驚いて、アインは顔を上げた。 ハニはスンジョが出て来て、安心したように笑顔を見せた。
「ペク・スンジョ・・・・・君・・・ハニちゃんと・・・・・」
むっとしたスンジョの顔はハニ初めて見た。
どんな時も表情を変えないスンジョは、他人には不機嫌なのか機嫌がいいのか判らない。 判るのはハニとグミだけ。
「ハニとなんだと言いたいんだ?付き合っているのかと聞きたいのか?」
ハニはスンジョが自分と付き合っていると言ってくれるのかと、ドキドキと期待を込めて見ていた。 「付き合っていたら諦めるけど・・・・そうじゃなかったら・・・・・」
「付き合ってはいない・・・・・これでいいか?ハニ、行くぞ。」
グイッとハ二の腕を掴んで、スンジョはハニを立ち上がらせて歩き出した。
「ハニちゃん!連絡してね。」
アインは手を振って、歩き出したハニを見送った。
スンジョは何も言わず、グイグイとハニを引っ張った。
「スンジョ君・・・・歩くの速いよ・・・・・・ねえ・・・・ねぇったらぁ・・・・・・」
何も言わずただスンジョは歩いた。
「ねぇ・・・・・手が痛いよ・・・・・・スンジョ君・・・・・・何を怒ってるの?」
「いつから・・・・・」
「えっ?」
「いつからアイツと話をする様になったんだ?」
「いつって・・・・・いいじゃない話をするくらい・・・・スンジョ君に好きだと言われたけど、誰とも話をしていけないわけじゃないし・・・・それに、私たち付き合っているわけじゃないんでしょ?」
スンジョは更に怒りを抑えられなくなり、掴んでいたハニの腕を思いっきり振りほどいた。
「お前は何だよ、誰とでも親しく話すのか?」
「いけない?私は、平等に人と付き合うんだから、スンジョ君の私物じゃないんだから!」
売り言葉に買い言葉 まだ高校二年生の二人には、一度口に出したことを止めることは出来なかった。
「勝手にしろ!」
スンジョはどうにも治まりそうにない自分のイライラを、持っていたジュースを投げつけて、ハニが持っていたスンジョの本を奪い取るようにして、その場にハニを置いてサッサと歩いていった。
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