スンジョの戸惑い 47
妙に静かで平穏な、平日の朝。
いつもならグミとハニの話し声やら笑い声で賑やかで、多少と言うよりも朝からかなり五月蝿く耳を塞ぎたくなっていた。
それが、スンジョが制服を着て降りて行くと、とグミはキッチンで忙しく動き、ウンジョは一人でポツンと朝食を取っていた。
「ハニは?」
「知らない・・・誰かが呼びに来て、うきうきとして学校に行った。」
「呼びに?・・・・誰が?」
「知らないよ!気になるならママに聞いてよ。行って来ます。」
何かを隠してスンジョの目から逃げるように、ウンジョは鞄を持って玄関を出て行った。
スンジョはグミがチラッと見たのを一瞬気が付き、いつもと変わらない顔をして朝刊を広げた。
「お兄ちゃ~ん、今日から一人で学校に行ってねぇ~。寂しいかもしれないけどね♪」
「別に・・・・・自分のペースで歩けるから楽だ・・・・英字新聞がないけど・・・・」
「あらそう?ハニちゃんどこに置いたのかしら?急いでいたからまだポストかも・・・・」
グミがそう言いながらも、取りに行く様子もなく何かを隠しているようにスンジョの顔を見ようとしていなかった。
「まぁ・・・・いいよ・・・一日くらい見なくたって困らないから。」
昨日の公園デートから、喧嘩をしたままハニとまともに口を聞いていない。
ウンジョが言っていた誰かって誰だ?
一緒の家にいるのは、学校では誰も知らないから一緒に行くのはオレしかいないのに。
脳裏に浮かぶのは昨日のハニとキム・アインが話をしている場面。
オレと話す時は緊張して身体全体が堅くなっているのに、アイツ・・・キム・アインとはリラックスしていたな。
ハニに関わることを考えると、オレらしくなくイライラとして来る。
「ハニ、コーヒー。」
新聞に目を通すが、一ページどころか一文字も頭に入らない。
何度も同じ所ばかを目が追っている。 テーブルの自分の前に、コトンと淹れたてのコーヒーが入ったマグカップが置かれた音がした。
何も考えずにそれを口に含むと、いつものコーヒーと味も香りも微妙に違っていた。
「豆を買えたのか?」
嫌な視線を感じて顔を上げると、グミが腕組みをしてこちらを見ていた。
「今日は、私が淹れたのよ。ねぇ、お兄ちゃん・・・・・ハニちゃんに何を意地悪したの?」
「何もしない・・・・・」
「もし、お兄ちゃん以外に、ハニちゃん以外に好きな人が出来たらどうするのよ。」
「別に・・・それならそれでいいんじゃないか?オレの後ろばかり付いてこられて鬱陶しかったから・・・・・ご馳走様・・・・行って来ます。」
朝食もほとんど食べていない。
キム・アインと話をしているのを見て、余程怒れているのか、それとも一人で先に家を出て行って心配しているのか・・・・・・・・
「お兄ちゃん・・・・・・最近は、少し人間らしくなったと思ったのに、ハニちゃんがいないとダメなのね。素直にならないと、後悔する事になるのに・・・・ 」
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