スンジョの戸惑い 54
スンジョより一台遅い地下鉄に乗ろうとしたが、通勤時間と重なりビジネスマンたちの力に押されて、ハニはまた乗り損ねる所だった。
「本当に私はドジ・・・・・・」
アインは満員の車内でハニを守るように立っていたが、スンジョにそんな風にされた事もなく戸惑ったが、スンジョにするようなドキドキと胸が激しく打つこともなかった。
アインだってスンジョに引けを取られない容姿を持っているが、ハニにしたらスンジョ以外で胸が時めくことはない。
「ごめん・・・・僕、もう降りるから。学校近くの駅まで付いていけなくて本当にごめんね。」
「ううん・・・・いいよ。」
一つ一つスンジョと違って、女の子が心身するくらいにハニにとても優しい。
アインが降りると、乗り換えのために沢山の人が降りて車内は一気に空席が増えた。
修学旅行に行ったらきっと、取り巻きの女の子達でスンジョ君の姿さえも見れないんだよね。
どうしてスンジョ君が不機嫌なのかさえも聞けないから判らない。
遅刻
「ハニや~、ここやでぇ。」
ハニのためになると目尻を下げられるだけ下げるジュング。
「バック持っていてやるから、はよ行かんと・・・・・座席のくじを一緒に引いたら隣同士に座れるかなって思って・・・・・」
釜山訛りで、高校に入った時は、クラスに馴染めず元気が無かったが、ハニの誰彼隔てない性格で声を掛けられて、今の明るいジュングが存在していた。
ジュングにキャリーバックを持ってもらい、学校に着くとクジ係のミナとジュリが立っていた。
「ハニ~、座席くじよ。早く引いて!」
ハニを手招きするミナとジュリの方にジュングと急ぐと、ジュングが先に座席くじを引いた。
「オッ・・・・・・オレは2号車の一番後ろや・・・ハニや早く引いてみんか?」
「うん・・・・・・」
ハニがクジを開くとミナがそれを取って眺めた 。
「フ~ン、ハニも一番後ろね。」
「そうかそうか・・・ハニもか・・・よかったな。」
嬉しそうにハニの顔を見るジュングの前に、ジュリがハニが開いたクジの紙をチラチラとさせた。
「ザ~ンネン。ハニは1号車の一番後ろなの。それじゃあ・・・・・」
ジュリがハニの背中を押して歩きだすとミナがジュングに 言った。
「ジュングの隣は、教頭先生だからね。良かったね。」
ミナとジュリに伴われて1号車に乗り込み、引いたクジに記された場所に行くと、そこにはスンジョが座っていた。
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