スンジョの戸惑い 56
「おい・・・・おい・・・・起きろよハニ。」
「ん・・・・・・」
お腹の痛みが和らぎ、いつの間にか眠ってしまったハニはスンジョに起こされた。
「最初の見学先にもうすぐ着くから・・・。生理痛はどうだ?」
「治ったみたい・・・・・ありがとう。」
バスは最初の見学先の駐車スペースに停まると、生徒たちは慌ただしく立ち上がり降りて行った。
バスの降り口でジュングが、覗いたりソワソワとしながらハニを待っている。
「お・・・・来たかぁ・・・・・良かった、良かった、ペク・スンジョに悪さされんかったか?」
「大げさすぎ。たかが隣り同士に座っただけじゃん。」
ミナとジュリは生理中で体調が悪いハニを、ジュングに気づかれない様に両方から支えるように立っていた。
「そんなこと言うけど、オレなんか隣が教頭なんだぞ。息が詰まりそうだわ。」
ミナたちの話を聞きながら、ハニはスンジョの姿を探した。
見学先は他校の修学旅行生も沢山いるが、スンジョはどの学校の生徒の中でも目立つ存在だった。
他校の女子たちも、スンジョを見ると立ち止まって見とれていた。
当の本人のスンジョは、自分の方を見ている女子の視線を、煩わしそうにしながら施設の案内係の説明を熱心に聞いていた。
スンジョ君はやっぱり注目の的だね。
せめて、自由行動は一緒に行きたいけど、1組の女子が取り囲むから無理だよね。
ハニは生理痛が治まると、スンジョの事しか考えられなかった。
その時、ハニの耳に1組だけではなく他のクラスの女子たちの会話が聞こえて来た。
「私ね・・・・・・・修学旅行で告白する。」
「誰に?」
「決まってるじゃない・・・・ペク・スンジョ」
「ウソ・・・・私もだけど・・・・他にもいるんだよね。告白すると言っていた子がいたよ。」
来年は受験学年。
学校と違って、開放的になる修学旅行で誰がスンジョからO・Kが出るのか。
ハニは、スンジョの姿を見目で追いながら施設内を移動した。
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