スンジョの戸惑い 57
纏わりつく女子の話し掛けにも、スンジョは適当な返事をして聞き流していた。
冷たくあしらえばそれがまたいい・・・・とか。
全くくだらない。
誰もオレの容姿と頭脳だけを見ていて、心の中の事など何も知らない。
ハニのように馬鹿みたいに、何も要求をしないでオレを見てることは出来ないのか?
オレが意地悪しても気にしていないと言いながら、本当は泣きたいくらいに悲しくてすごく気にして。
鉄の心の様なオレが後悔するくらいに、涙を必死にこらえてオレのからかいに逆らうことなく付き合って・・・・・・・・
オレはどうしてハニがこんなに気になり、他の女の子たちとどうして比べたりするのだ?
オレの好きと言うのと、お袋たち一般の女の言う好きと言う意味とは違うのか?
嫌いじゃなければ好き・・・
嫌いじゃないと言えばそれが当たり前だから、いちいち好きだとか言う必要なんてないのじゃないか? それしかないのに、お袋もハニもオレに何を望んでいるのか。
土産品売り場を遠目に見ていると、ハニが安っぽそうでガキっぽいペアのストラップを見ていた。
キラキラ光ってハニの顔に反射して、色白のハニがいっそう白く見えた。
「あの子、可愛くねぇか?」
「どの子だ?」
「ほら、あの黄土色のジャケットの制服を着ている子・・・・ペアのストラップを見ている色の白い子。」
ハニの事か?
「ああ・・・パランの制服だ・・・・パランなら金持ちかもな。」
「声かけてみよか?」
スンジョの横を、少し素行の悪そうなどこかの高校の男子が数名通り過ぎた。
その生徒たちはスンジョが思った通り、ハニのそばまで行って足を止めた。
「ねえ・・・そのストラップ、彼氏に買うの?」
後ろから急に声を掛けられて、ハニはビックリしてストラップを落としそうになった。
スンジョはその様子を暫く見ていようと思い、空いているベンチに座った。
「彼氏・・・・・彼氏じゃなくて・・・・・・・・」
背の高い男子に囲まれると、ハニは身構えた。
「今日はどこのホテルに泊まるの?」
「泊まるところ?泊まるところは・・・・・・・・」
ハニのやつ、何を話してるんだ?
早く離れろよハニから・・・・ハニもそいつらから早く離れればいいのに。
スンジョはハニが他校の男子に囲まれて話をしているのを見て立ち上がった。
「ねえ・・・ホテルが近いみたいだから、今夜こっそり抜け出そうよ。」
「でも・・・・」
「抜け出してさ・・・高校の楽しい思い出をオレ達と作らないか?」
一番身体の大きな男がハニの腕を掴んだ。
咄嗟にハニは腕を引こうとしたが、掴まれた腕を見て驚いた。
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