スンジョの戸惑い 65
二泊三日の修学旅行は、高校生活の中では入学式・卒業式に並ぶほどの大イベントだ。
来学年は三年生。
大学進学に向けての受験勉強が待っている。
気楽でいられる二年生のうちに、彼女や彼氏を作ろうと思っている人は多い。
この修学旅行が、そのチャンスだ。
「ハニ、今夜はどうするの?」
「どうするって?何をどうするの?」
「好きな人に告白するのは今夜しかないわよぉ。」
パラン高校では生徒の間で代々伝わってきた、修学旅行に告白をして両思いになるとその相手と幸せな結婚が出来る。
そんな、漫画のような話があった。
「ウネ・・私は・・・いい・・・・」
ハニは今日のスンジョの言葉に、ほんの少しだけ期待をしていた。
それに、スンジョが自分の気持ちを知っているのだから、いまさらまた告白をしなくてもいいと思っていた。
「ああ~、ハニはペク・スンジョに告白したよね。振られたけど。」
そう、告白をして振られた事は有名でも、スンジョと一緒の家で生活をしていることを知っている人は少ない。
「諦めなよ。ペク・スンジョに告白しようとしている子が沢山いるんだから。」
ミナとジュリはハニとスンジョのことを知っているが、彼女・・・ウネは知らない。
「うん・・・・でもいい。私はこのまま片思いで終ってもいいから。」
ウネはあまりしつこく聞かない子だから、その話はそれっきりにしてウネはウネの好きな人に告白するために部屋を出て行った。
生理痛も不安だったけど、他に考える事があって忘れていたから、いつの間にか痛みも気にならなくなっていた。
いつもは一緒にいるミナ達とは、修学旅行前に決めた部屋割りのくじで離れ離れになり、シンと静まった一人だけでいる部屋で荷物の整理をし終ると、ベランダに出て大きくノビをして夜空を眺めてた。
ここは静かで星の輝きも宝石のようで綺麗で、いい思い出が出来て良かった。
先生の目を盗んで、外出をする人が暗闇に目が慣れると何人か動いている姿が見えた。
「ハァー、付き合ってはいない・・・・付き合っていない・・・・・ん~・・・・・・・あ~気分が悪い。言葉の意味が判らないけど、どういうことなんだろう。」
その時、ベランダの下の方で何かが動いて、草や木の枝が動く音がした。
「な・・・・・・・・覗き?ここは二階だよね・・・・・まさか・・・・上がってこないよね・・・・部屋の中に入って窓に鍵を掛ければ・・・・・・・」
ハニは思いつくと直ぐに、部屋の中に入ろうとして向きを変えた。
その時、その音の主がベランダに入って来たのが判った。
誰か呼ばなきゃ・・・・
「誰・・・・・・・・ゥグッ・・・・・・・・」
ハニは大きな手で口を塞がれた。
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