スンジョの戸惑い 67

 スンジョは外で木の枝が揺れ、葉が音を立てたのが聞こえて我に戻った。

 音の方を見ると、この部屋のある棟の向かい側の棟の部屋が見える。

 その部屋のベランダから、こちらを見ている誰かの視線を感じた。 

スンジョは、ハニから離れてベランダに出た。

 こちらを伺っていた人物を見て、人差し指を口の前で立てた。 

「シーッ」

 廊下を歩く足音が、部屋の前で止まりドアノブに手が掛った。





 「ハニ・・・・・ハニ・・・・・起きて、朝食に行く時間だよ。」

 「う・・・・・ん。」 

「朝・・・・・・・」 

「そうだよ、朝だよ。」 

「だ・・・・誰か部屋にいなかった?」

 スンジョ君・・・・見つからなかったかな? 

「誰か来てたの?」 

「ううん・・・・・なんでもない・・・・・」 見つからないで出て行ったんだ。  


ハニは夢の中で、スンジョにキスをされた夢を見た。 

本を読んでいるスンジョ王子に、スンジョが好きな村娘のハニ。

 王子は村娘のハニが眠っている時に、そっとキスをした。


 夢だったんだよねあれは・・・・・スンジョ君がキスをするはずなんてないんだから。

 でも・・・・・・・夢なのに温かかった。 

スンジョ君の唇が。


 ハニは食堂で1クラスの席に座っているスンジョを見た。 

スンジョはハニに気づいても、いつもとかわらない無表情な顔をしていた。 

ハニをチラッと見ただけで、何事も無かったように食事を続けた。


 「やっぱり夢だったんだ。」 

「何が夢なの?」 

一緒に朝食を食べているミナとジュリがハニの顔を見て聞いた。 

「ひ・み・つ!」 

ミナとジュリは顔をあわせて、クスッと笑った。  


「どうせハニのことだから、夢でペク・スンジョを見たんでしょ?」

 「な・・・・・ち・・・・違うわよ。」

 ミナとジュリとハニの三人のいる所だけ、賑やかな朝食の時間でも一際賑やかだった。   

ハニー's Room

スンジョだけしか好きになれないハニと、ハニの前でしか本当の自分になれないスンジョの物語は、永遠の私達の夢恋物語

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