スンジョの戸惑い 69
思った通り、ハニへの虐めは直ぐに始まった。
食事をしていても、ハニを見る目が冷たく食べる物も喉を通らなかった。
「ハニ、大丈夫だよ。私とジュリが付いているから。」
「ありがとう。」
ミナとジュリは、自分たちにも責任があると思っていたから、不安そうにしているハニを励ましていた。
「あっ!」
食事の終わった女子生徒、おそらくスンジョファンだろう、ハニの椅子を思いっきり蹴った。
「ちょっと!気を付けなよ。」
ジュリがあからさまに、ハニに対して嫌がらせをしていることに頭に気て立ち上がり、一言を言おうとした。
「ごめんあそばせ。トレイの陰で見えなかったわ。」
「なんだって!」
「ジュリ・・・・やめなよ。」
ミナに服の裾を引っ張られ、ハニを見ると傷付いた顔で俯いていた。
その生徒ばかりではない。
わざわざそこを通らなくてもいいのに、ハニの椅子を蹴ったり持っている鞄をハニの頭にぶつけたり・・・・・ そこにスンジョがいないのをいいことに、幼稚ともいえるような虐めをしていた。
「ったく!そんなにハニがペク・スンジョに好かれちゃいけないの?」
「仕方がないよ。みんな一生懸命にスンジョ君に手紙を出したりしていたのに7クラスのバカな私がスンジョ君と一緒に住んでいて、みんなの前で好きだって言ったのだから。」
「7クラスだから、気に入らないんだよね。」
「ミナ、ジュリ・・・・・私はスンジョ君が好きだって、言ってくれただけですごく頑張れるの。スンジョ君が私を見ていてくれると思うと、きっと私に対して気に入らない人もいつか判ってくれると思うんだ。スンジョ君だって、最初は私の事を嫌いだったって聞いたことがあるから。」
「偉いね・・・ハニは。そんな風に言えるから、ペク・スンジョに好きになってもらえるんだと思うよ。」
「ホント、ホント。これで、私たちの役目も半分は終わりかな?」
「ジュリ!」 何かをハニに隠しているが、ハニには気が付かれなかった。
ハニたちが乗っているエレベーターが止まり、顔見知りの7クラスの生徒が入って来た。
「あら!ハニ・・・聞いたよ。ペク・スンジョが告ったって?」
「うん・・・・・・・」
「私たち7クラスは、ハニを応援するからね。」
「ありがとう。」
7クラスは成績優秀者がいなくても、団結力はパラン一だと、ソン・ガンイ先生はいつも自慢していた。
その生徒から、スンジョが1クラスの女子にハニの事を好きだと言った事があっという間に広がり、ジュングの耳に入った時は、大きな声で泣き叫んで大変だと聞いた。
ジュングはいつも、本気なのかふざけているのか 「ハニが好きだ。ハニはオレの女神だ。」 と、言い続けていたから、噂を耳にした時は押さえつけるのに男子たちが苦労していたと聞いた。
「改めて思うけど、スンジョ君って本当に私でいいのかなって・・・・・・」
「天才のペク・スンジョだから、ハニが良いんだと思うよ。」
ミナの言葉にハニは、むくれた。
「どういう意味?ミナ・・・・。」
「完璧だから、ハニみたいに欠点ばかりで良い所って言ったら・・・・その明るい笑顔を見てホッとするんじゃないかな?人を悪く言わないし、いつも一生懸命だから。」
「よく判んないけど・・・・・・・ミナ・・・大好き。」
「ペク・スンジョより?」
「意地悪・・・・・・・ジュリも大好きだよ、スンジョ君とパパの次に。」
エレベーターの中からは7クラスのクラスメートとハニ達の笑い声が聞こえた。
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