スンジョの戸惑い 71
「待ちなさいよ!!」
ミナとジュリはぶつかった子を追いかけた。
「わざとじゃないって言ったでしょ。そんな安物なんて壊れたっていいじゃない。」
その子はミナたちに掴まれた肩をふりほどき、呼び止められた事を憤慨したように歩いて行った。
「ミナ・・・ジュリ・・・いいよ、ありがとう。私とスンジョ君もこんな風に壊れやす・・・・」
ハニは壊れたストラップを手のひらに乗せると、堪えきれずに涙を歩ポトリと落とした。
その手のひらの中にあるストラップを、ハニの肩越しに誰かの腕が伸び持ち上げた。
「スンジョ君!」
ハニが振り向くとスンジョが壊れたストラップを見て、自分のポケットから携帯を出した。
「壊れた物は直せない・・・・・これはこの部分が細いから折れやすいんだ。ハニ・・・お前が気にするのなら、こうすればいいんだ。」
スンジョはそう言うと、自分のストラプをハニのストラップの折れたところと同じ場所を指に挟んで折った。
「スンジョ君・・・・・・」
「これで一緒だろ?ペアの物が壊れたって気にするなよ。これが壊れたからって別にオレ達が終わるわけじゃない。物は壊れるが人の想いはそんなに簡単に壊れたりしない。」
スンジョはそこが多数の人がいる場所だということを忘れていた。
「さすが天才ペク・スンジョ!!言うことが違うよね。」
スンジョとハニはジュリの声に驚いて振り向いた。
「いつからそこに・・・・・・・・・」
「「ずっといたんですけどぉ~~」」
ニヤニヤと笑うミナとジュリに、スンジョは頭をかいて照れ笑いをした。
「私たち先に行くね。ハニの荷物は、ペク・スンジョあんたが持って行ってね!それじゃあ・・・」 「ジュリったらぁ・・・・・・」
「今度はもっといい物を買ってやるよ。」
「本当?」
「いつかな・・・・お前が無事に高校を卒業が出来た頃かな・・・・・・・」 壊れた物は直せないし、物は直ぐ壊れてしまう。
だけど、人の人に対する愛情は簡単には壊れない。
修学旅行でスンジョとハニは、スンジョの告白後も変わらなかったふたりの距離が少しだけ先に進めた。
スンジョはハニとこんな風に素直な気持ちでいられるのは気分が良かったが、家に帰ってまだやることがあった。
それは一筋縄では行きそうにない大きな関門だ。
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