スンジョの戸惑い 75
「ちょ・・・・・・・ちょっと待って!な・・・・何をするの?」
グミのパソコンの画像フォルダーを開いた。
「消すんだよ、盗み撮りをしたような画像は!」
フォルダーを開くと『よくもまぁこんなに撮ったなぁ』と思うほど数えきれないくらいのスンジョとハニの写真があった。
「お願いだから、消すのだけは止めて!」
「ダメだね。どうせ、この画像は何かの時に使うんだろう?」
スンジョとグミのやり取りを心配そうに見ていたハニは、スンジョの横からその画像を覗き込むようにして見ていた。
「凄いですね・・・・・・こんなに沢山の写真は・・・・・・あっ!これはスンジョ君の笑った顔がいいですね。」
「でしょ?こんなにいい顔で笑ったのなんて、大きくなってからは見たことが無いのよ。ほら!お兄ちゃんったらいつも難しい本ばかり見ているから、眉間に皺が入ったような顔でしょ?ベストショットよ。」
女二人で盛り上がっているのをイライラとしていると、今度はウンジョが盛り上がるほどの写真がどんな風に写っているのか気になって来た。
「お・・・・・・・・お・・・・お兄ちゃんが、ハニにキキキキ・・・・・・・」
顔を真っ赤にしているウンジョの視線をたどると、ウッドデッキで居眠りをしているハニにスンジョがキスをした写真だった。
「あら!こんなところに入っていたのね・・・・。これは随分前なのよぉ。」
いたずらっ子のようにキラキラと瞳を輝かせて、グミはスンジョの顔をチラッと見た。
「スンジョ君・・・・・いつ・・・・・・。」
さすがのスンジョも隠していた自分の思わいもよらない行動を、ハニに知られてしまい動揺を隠せない。
「お前が間抜けな顔をして寝てたから覗き込んだだけだ。」
グミはニヤッとした。
「そうかしら?ちょっとハニちゃんごめんね・・・・・・・・ここよ!」
そのフォルダーは、スンジョがハニと並んで登校した時の写真だった。
さりげなくスンジョがハニをかばうように廻した手が、誰が見ても好きな女の子を守っているように見えた。
ハニのオデコにキスをしている写真、頬にキスをしている写真・・・・・・当然修学旅行のバスの中で眠っている時にそっとキスをした写真がガラス越しに写されていた。
「ウンジョを置いて行くのも心配だったけど・・・・・・・ごめんねウンジョ、ママったらパパもだましたのよ。実家のおばあちゃんが具合が悪いなんて・・・・ウソなの。あと100年も生きられるほどピンピンしてるわ。」
反省しているような言葉もグミが言うと全くそうは聞こえない。
呆れかえって削除するどころか、スンジョは頭を振ってこれからの自分とハニの行動を考えなければいけないと思った。
「おばさん・・・・・まさか・・・・この写真全部をブログに使うつもりだったんですか?」
「ううん、さすがにこの写真はね・・・・・だから別のフォルダーに入れたの。憧れだったのよぉ。同級生の女の子と男の子のラブラブデート・・・・・・・パパとは年も離れているし・・・・その・・・・デキ婚だったから・・・・・・だからってね、あなた達にもデキ婚を勧めるわけじゃ・・・・・」
「当たり前だろ。」
「お願いスンジョ!」
真剣な顔のグミにスンジョは写真を削除するのをよそうかと思った。
「若いおばあちゃんになりたいの・・・・だから・・・・」
その次の言葉は言わなくても判っていた。
スンジョは、パソコン上にある写真を何も言わないですべて削除してしまった。
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