スンジョの戸惑い 78
「デートしてくれるの?私と?」
「嫌ならいい。」
「嫌じゃない!絶対に嫌じゃないから!」
「ああ・・・・お袋には内緒だ。」
ハニは何かを感じて、スンジョの横からパッと逃げた。
「また意地悪なことを考えているんでしょ・・・・・口の軽い私から、デートに誘って気分をよくした時に何か聞き出そうと・・・・・・」
そこまでハニが自分がデートに誘ったのを疑うような言い方をすれば、スンジョにはグミとハニが自分には言えない秘密があることを感ずいた。
「なにも意地悪しないよ。ハニと急にデートがしたくなったんだよ。」
「本当?」
「ああ・・・本当だ。」
「本当に本当?」
「そんなにしつこく聞くならやめてもいいぞ。」
スンジョは面倒くさそうな顔をして立ち上がった。
「もう聞かないわ・・・行くから待ってて。」
ハニはキッチンに行き、グミにスンジョと出掛ける事を伝えに行った。
「いいわよ、行ってらっしゃい。」
ハニに付いて玄関まで送り出しに行く時に、スンジョがグミに向かってニヤッと笑った。
「それじゃぁ行って来る。ハニといろいろ話がしたいからな。」
何か引っかかる言い方をするスンジョの言葉に、グミは動きが一瞬止まった。 ドアが閉まる僅かな時間に、スンジョがグミに一言、 「ハニはオレが好きだから、オレの聞かれたことにはきっと従うだろうな・・・・」 「な・・・・何を聞き出すの?」 ドアがパタンとしまり、そのままハニはスンジョに背中を押されて階段を降りて行った。
「ウンジョ!留守番を頼むわね。」
「ママ!待ってよ。僕とハニとどっちが大事なんだよ。ママが隠れてお兄ちゃんが怒る事をしたりするからだよ。」
ウンジョの呼びかけも聞こえず、グミはそのまま二人の後を追った。
しかしスンジョとハニは既に右に行ったのか、左に行ったのかもわからず、後姿を見つけることは出来なかった。
「ハニ・・・どこへ行く?」
「どこでも・・・・・・・アッ、ボート乗りたいスワンボートのある池に行きたいの。夢だったんだよ、好きな人が出来たらスワンボートを一緒に乗るの。」
ピョンピョンと飛び跳ねながら、ハニがスンジョの腕にしがみ付くようにすると、スンジョは自分では気が付かない程に優しい顔でハニを見ていた。
最初からスンジョはハニとグミの二人の秘密など聞く気にもならなかった。
大体二人の考えていることは判っているし、こうして脅かせておけば、隠し撮りをした写真を公に出すことなどしないと思っていたから。
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