スンジョの戸惑い 80
「プリクラ?」
「そう、プリクラ。彼氏が出来たらみんな一緒に撮ってるの・・・・皆に見せないから・・・ね?ねっねっね?」
ハニが必死に頼み込む顔が可愛くて・・・・・・オレの理性が吹っ飛んだ。
「いいよ。一枚だけな。」
「ありがとう。」
そう言うとハニはスンジョの手を引き、どのプリを撮ろうかと迷い始めた。
ハニが何かを決める時に迷うのは毎回の事。
どんなに大したことじゃなくても、迷い始めると最短で30分は掛かる。
いつ頃からだろうか、前はイライラしていたのに、今は待っている時間が楽しい。
ハニの表情がクルクルと変わり、決まった時には眠そうな目がパッと明るくなる。
「へー、中はこんなに狭いんだ。」
「スンジョ君、プリ撮ったこと無いの?」
「あるわけないだろ、オレが写真が嫌いなことを知っているだろう。」
何度もプリクラを撮ったことのあるハニは、ちょっと得意気にスンジョにプリクラの説明をしていた。
「ねえ・・・・あそこに入ったのって・・・・」
「天才ペク・スンジョと・・・・・・・」
「バカなオ・ハニ・・・・・」
スンジョとハニが一つのプリクラのブース中に入って行ったのを、見ていた4人グループの人達がいた。
4人はハニ達が入ったプリクラのブース前で、耳を澄ませて中の様子を伺っていた。
「お願いだから・・・・・ね?」
「無理だ・・・・やっぱり・・・我慢できないよ。」
「待って!待って・・・・・・・・あっ・・・・・・・・」
「なんか意外だね・・・・・・」
「うん・・・・・」
4人は聞き耳を立てていたことを、ちょっと後悔しているのか顔を赤くしていた。
「ペク・スンジョって・・・・・肉食系だったんだね。」
顔を赤くしながら、ショックを受けた表情でその場から離れて行った。
この事がスンジョとハニの、二人の関係に変化が起きることになった。
出来上がったプリクラを翳して、嬉しそうにクルクルと回るハニを見て、スンジョは最初はムスッとしていたが、その笑顔に思わずつられて笑みを浮かべていた。
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