スンジョの戸惑い 82
1クラスの生徒たちが静かに本を読んでいると、1クラスのドアが勢いよく開き集中力が途切れた事に不快な表情をした。
「おい!7クラスのオ・ハニが進路指導室に呼ばれたぞ。」
何だそんな事かと思い、また本に目を戻した。
7クラスのハニが進路指導室に呼ばれたのは、上がらない成績について呼び出されることが多く気にもしていなかった。
このクラスはエリート候補生と呼ばれている生徒のためのクラスだ。
他のクラスの事どころか他人の事になど、全く興味が無い。
「オ・ハニが呼ばれた理由って言うのが。プリクラのブースの中で、男と・・・・」
スンジョはそれを聞いて教室から飛び出した。
プリクラを撮り終って外に出て来た時、見覚えのある四人の後姿を見かけた。
きっと、とんでもない誤解をされているのだと思った。
「正直に言いなさい。プリクラの中で何をしていたんだね。」
「何をって・・・・・・プリクラを撮っていただけです。」
たかがプリクラを取っただけで呼び出され、校則違反でもないのにどうして進路指導室呼ばれた意味も判らず、ハニは教頭に何度理由を聞かれても、プリクラを撮っていたと言うことしか出来ない。 「ちゃんと説明が出来れば、保護者を呼ばなくてもいいんだ。さあ早く!」
「答えられないのなら親を呼ばないといけないが、答えられないのなら親を呼ぶだけじゃなく、事によっては謹慎にするよ・・・・お父さんを呼ばないうちに、ほら早く言いなさい。」
「先生、オレが言いましょうか?」
顔を真っ赤にしてハニに問い詰めていた教頭は、開けられたドアの方を見た。
「スンジョ君!」
「スンジョ君、君は何も気にしなくていいから、教室に戻りなさい。」
スンジョはズカズカと進路指導室の中に入って来て、座っているハニの腕を掴むと立ち上がらせた。 「二人一緒にプリクラを撮っていたのに、どうしてハニだけを呼び出すのですか?オレと一緒にハニはずっと一緒にいたんですけど。」
なぜ、ハニだけ進路指導室に呼ばれたのか・・・・・・
プリクラを撮っている時に、偶然スンジョのクラスの女子がふたりを見かけていた。 そう、ふたりを見たあの四人の子達。
彼女たちはスンジョの事が好きだ。
その反対に、ハニのことは好きではなかった。
教頭にハニが年齢のよく判らない男性と、狭いプリクラブースの中で高校生らしからぬ行動をしていると思っている教頭の顔が可笑しくて、スンジョはチラリとハニの方を見た。
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