スンジョの戸惑い 85
スンジョ君と喧嘩しちゃった。
私が悪いのは判っていたけど、本当は優しい言葉をほんの少しだけ掛けて欲しかっただけなんだもん・・・・・・
ハニは誰もいない公園のブランコに乗って、しゃくり上げながら泣いていた。
売り言葉に買い言葉。
ここ何日かは、スンジョがからかったりすることもなかったが、お互いに譲らない初めての大ゲンカ。
キャリーバックにぶら下がっているクマが、吹く風に揺れて泣いているようにも見える。
ったくハニのやつは・・・・・・
クソッ! スンジョは開いていたノートパソコンを、八つ当たりするようにバタンと強く閉じた。
判っているさ、ハニがオレに優しい言葉を掛けて欲しかった事くらい。
お袋が、あまりにしつこくハニを追い駆けろ、どうして優しい言葉を掛けられないの・・・と、オレの話も聞かないで言うけどそんな風に甘やかすのは簡単だ。
喧嘩の原因は些細なことだ。
テスト勉強もしないで・・・・本人はやったと言っていたけど、覗くたびに居眠りをしていた。
案の定、成績は酷いものだった。
平均が25点。 0点が無いから最下位は免れたが・・・・・・
「スンジョ君は勉強をしなくてもいいよね、努力をしなくても出来るから!私なんてどんなに頑張っても無理だもの。」
「少しは居眠りをしないで勉強をしてみろよ。真剣味が無いから、居眠りをするんだ。」
「真剣だよ。今度こそって三日前から始めたんだよ。」
「三日前とかの日にちの話しじゃない。授業に集中するだけでいいだろう。どうせお前の事だ、オレの事ばっかり考えていたんだろう。」
手当たり次第に本を投げるハニを押さえつけるようにして、思わず頬を叩いてしまった。
「パパにも打たれたことが無いのに・・・・・・酷いよ・・・・・苛めてばかりで・・・・・もうこんな事嫌よ。両想いになったのに、意地悪ばかりして・・・出て行くわ!」
「出て行けよ。行く所なんてミナかジュリの家だろ?それともジュングか?お前ら付き合ってると思うくらい仲が良かったよな。」
言ってはいけない言葉だった。
判っているはずなのに、ハニが好きなのはオレしかいないことを。
目に涙をいっぱい溜めて、ハニは本当に家を出て行ってしまった。
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