スンジョの戸惑い 88
毎年2年の7クラスは、学祭の時期は学校中で一番張り切っている。
今日は学際前半の運動会。
2年でも1クラスは、グランドに本を持って来て勉強をしている。
当然、クラスの応援などする気なんて全くない。
やる気のない1クラスでも競技には出る事になる。
スンジョの出場競技は、リレー。
そして7クラスのハニは、借り物競争。
午前中の最後の競技である借り物競争の出場生徒が、入場門に集まっていた。
「ハニや~、いる物があったら、思いっきり大きな声で叫ぶんやぞ、オレが持って行くから。」
入場門横の1クラス生徒は、自分たちには関係ないとばかりに、ひたすら本を読んでいた。
ただ一人スンジョだけが、難しそうな本を膝の上に置いて、何を考えているのか判らない表情で観戦していた。
無関心の様でも、ジュングがハニに世話を焼いているのを見ると、ジュングの耳障りな声にイライラとしていた。
借り物競争に出場の生徒が順番にスタートラインに立ち、合図があると選手は一斉にスタートラインから飛び出した。
「えっと、私の問題は・・・・・・・」
ハニは引き当てた借り物競争のメモを開けて顔を赤らめた。
保護者も来ているのに、まさかこんな問題が出るとは思わなかった
<7クラスの選手、早く走らないと声を出して問題を読んでもらうことになりますよぉ~>
でも・・・・・・どうしよう・・・・・・・
ハニは観客席のスンジョの方を見た。
その時は運が悪いことに、スンジョは膝の上の本に集中していた。
7クラスの席の方からはジュングが自分を呼ぶ声も聞こえる。
<7クラスさん・・どうされました・・・・>
ハニは目を瞑って覚悟を決めた。
スンジョの方を真っ直ぐに走って来た。
「スンジョ君!お願いします!何も聞かず、一緒に走ってください!」
ハニはスンジョの前に腕を差し出した。
断るわよね・・・きっと。
ハニの腕がグイッと引っ張られて、スンジョと一緒に走る借り物競争。
スンジョ君ったら手に汗をかいて・・・・・・
今日の天気と、私と走ることが嬉しくて手に汗をかいているんだね。
みんなの歓声が私たちのことを羨ましがっているようで。
いつも私の前を歩いているスンジョ君をこうして手を引いていくなんて・・・・・
ハニは借り物を見つけて戻って来た人の列に並んだ。
「さあ、7クラスのあなた・・・オ・ハニさん。あなたの問題はなんでしたか?」
えっ?問題をここで言うの?
「ヤダ・・・・・恥ずかしい・・・・・代わりに言って・・・・」
ハニは腕を後ろに伸ばして、問題の書かれている紙を渡した。
「で・・・・でも・・・・・」
何?この自信のなさそうな声は・・・・・それに誰?
ハニはその聞いたことのない声の主の方を振り返った。
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