スンジョの戸惑い 90
「イタタ・・・・・日焼けはするし、筋肉痛だし・・・・・・おばさんにシップでも貰っておこうかな?」
ハニが部屋を出ると、スンジョがバルコニーで風に当たっていた。
ハニはスンジョの隣に並んで大きく深呼吸をした。
「あ~あ、冷たくて気持ちがいい風ね。」
「低い鼻でも焼けるんだな。」ハニの鼻をつまんだ。
「イファ~イ ヤメフェ (いたぁ~い やめて)」
「ハニのファーストキスはオレじゃなかったんだもんナ。」
スンジョは意地悪く片方の口角を上げて、ハ二の顔を覗き込むようにして笑った。
「もう言わないでよ。まさかあんな問題が来るとは思わなかったし・・・・おばさんが関係してるのかなぁ。」
「何とも言えないな、お袋の行動に関しては。」
ハ二のためにローションマスクを持って二階に上がって来たグミは、偶然二人が話をしているのを見つけて燥ぎたい思いを押さえた。
「流石我が息子!ビンゴよ。今回も私が仕組んだんだけど・・・・・ハニちゃんったら・・・・フフフ。でも、いいわベストショットを隠し撮りしたのだから。」
グミはローションマスクをそっと壁の棚の上に、ハニが見つけられるように置いて、静かに階段を降りて行った。
「スンジョ君て意外と大胆だよね。」
「何が?」
ハニは何を思い出したのか、恥ずかしそうに下を向いた。
「だって・・・・・人が通るのにあんな場所で・・・・キ・スをするんだもの。」
「誰も気が付きやしないよ。まさかあんな所でクラスの応援をサボってキスをしているんなんてさ。それもハニが悪いんだからな。」
「どうしてよ!私、何もしていないよ。」
「したさ・・・・・オレじゃないヤツがファーストキスの相手だって言うからさ。」
「んもぅ !!」
振り上げたハ二の手をスンジョは掴んで、いたずらっ子のような表情を見せた。
「いただき!」
そういったと同時にハ二のとんがった唇に、素早く軽くキスをした。
「さあ、明日は文化祭だ。ハ二たちのクラスの発表の前に、オレ達のミュージカルの上演だ。ハ二たちのクラスの出し物も楽しみに待っているからな。」
舞台を使っての出し物は毎年人気投票があり、学際の締めくくりとして、毎年盛り上がる打ち上げになっていた。
「スンジョ君たちは何を演(や)るの?私たちは男子が女装して女子が男装して、眠れる森の美女の劇なんだよ。」
「くだらないのやるな。」
「くだらなくないよ!私のフィリップ王子はすっごいイケメン王子なんだから、ファンだって出来るんだから。それなら、スンジョ君は何をやるの?」
本から目を上げずに、無関心な顔で言った。
「オレは裏方だ。期待するなよ・・・フィリップ王子様。」
スンジョは手を挙げて自分の部屋に行った。
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