スンジョの戸惑い 94
どこからか飛んで来て、ジュングの顔面に当たったボールは、コロコロと舞台上に転がった。
シーンと静まり返った講堂に響く声に、観客の視線は3列め中央の座席に座るグミに向いた。
「ダメよ!ハニちゃんの唇は、スンジョの物だから。イイエ、唇だけじゃなくて全てがスンジョの物よ!」
「ママ!お芝居だから・・・・座りなさい・・・」
「あらっ!私としたら・・・・・」
グミはハニの事になると、その場の状況が見えなくなる。
舞台の袖から観客席を見ていたスンジョは、グミのとった行動に頭を抱えた。
「どうしてオレの周りはこんな人ばかりなんだ?頭が痛い・・・」
そう言いながらスンジョは、頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。
スンジョの白雪姫・ハニのフィリップ王子にジュングのオーロラ姫が評判になり(内容が良かったわけではなく印象に残った作品として)、舞台を見ていなかった生徒も見ていた生徒から話を聞き、せめて三人の姿だけでももう一度見ることが出来ればという思いだけで、投票がスンジョとジュングにだけ集中してしまい、今年度のMissパラン&Mrパランの選出にも影響が出て来た。
「ねえ。今年のMissパラン&Mrパランはどうなるのだろ・・・・・・」
「ジュングってどんな子か知らないけどさ、可哀想だったね。いい場面でペク・スンジョのお母さんにボールを当てられて。」
「本当・・・可哀想すぎたから、ジュングに一票入れたよ。
「わたしも・・・・だって、ペク・スンジョ相手に、どうあがいても彼以外は一位にはなれないことが判っているからペク・スンジョにしたわ。」
太陽も傾き、外部からの見学者も一人づつ帰り始めた頃。
舞台の出し物で選ぶMissパラン&Mrパランの発表が行われた。
「生徒の皆さん、ただ今よりMissパラン&Mrパランの発表を行います。最初は三位から発表です、三位は4クラスのイ・ソンミさんとクォン・イングク君です。二位はコ・スアさんです。二位のMrは今年度はいません。なぜなら、同票数で一位の二人のMrが選ばれました。
その栄えあるMrの一位はペク・スンジョ君とポン・ジュング君です。そしてその相手としてオ・ハニさんが選ばれました。」
ジュングはハニの手を取って一緒に舞台に上がった。
「Mrのペク・スンジョ君、いませんか?なにも言われないと失格になります。よろしいですね?」
結局スンジョは現れなかった・・・・・・・
「一位のポン・ジュング君、相手の方にご希望の所に軽いキスをしてもらいますが、どこにしますか?」
「ハニや~どこが良いだろうか?」
「どこでもいいよ。」
今まさに今度は舞台とは違って、生徒だけのイベントの為グミの邪魔が入ることはない。
「ジュング!止めろよ。」
その声と共に、ハニはジュングから引離された。
「自分の彼女がいくらイベントとはいえ、他の男にキスをするのは許せない。オレはハニが好きだ、だからオレ以外の男にキスなんかするんじゃないぞ。」
「スンジョ君・・・・・うん!」
そう言って、スンジョは全校生徒の前告白をして、ハニにキスをした。
全校生徒の前でハニを自分の彼女たと公表したのが吉となるか凶となるか。
スンジョが全校生徒の前で告白した事は、大きな心の変化の表れかもしれないが、大抵グミ絡みの問題は暫くの間混乱することになる。
堂々として、二人がいる姿を見てどんなことが起きるのか・・・・・
ハニと出逢った事によって、グミとハニの迷惑行為が楽になることがあれば・・・・・
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